淡白マスヲのたんぱく宣言 

40過ぎのおっさんのエッセイ。昨日より、今日見たことや感じたことを書きたいと思っています。

押し付けられて生きていく

 昨日、自分の娘と舞台版ドラえもん「のび太とアニマル惑星」を観劇しに行った。
 自分は10年来の鴻上尚史ファンで、彼が演出を手掛ける舞台を見るのが最近の楽しみのひとつだ。

 毎年、小中学校からの友人たち7、8人と花見をするのが20年ほど恒例化している。
 今年のその席上で、僕が娘を鴻上尚史ドラえもんの芝居に連れて行くと話題のひとつとして皆に話した。
 それから宴が深まったあとに友人が他の友人と話し込んでいる言葉が耳に入った。
「大人が見たいものを押しつけているだけで子供が可哀そうで、大人の自己満足だ」というようなことを言っているのが耳に入った。(僕も酔っていたので多少ニュアンスが違っているかもしれないが)
 開宴してから相当時間が経っていたので友人もまさか僕が聞いているとも思っていないはずだし、僕もわざわざ反論しようとは思わずに聞き流しておいた。

 観劇の前日は金曜日でドラえもんの放送日だ。テレビアニメの後にデザートを食べているときに、明日楽しみだねと子供に話かけると「今日本物のドラえもんを見たから偽物のドラえもんなんてあまり見たくない」と言われてしまった。
 子供の言葉を聞いたあとに少しショックを受けたし、自分の好みを押し付けているのだろうかと考えてしまったが、娘が昔から絵本や児童文学を読むのを好きだったので、きっと明日のいつもと違うドラえもんも楽しんでくれると期待することにした。

 当日会場に着き、ロビーをくぐると開演まで子供のテンションを高める工夫がいくつも用意してあった。ネタバレになるから詳しくは省略するが娘の楽しそうな表情を見て安心しはじめた。
 芝居がはじまると演出上で暗くなったりしたときなどに彼女は多少おびえたりしていたが、終演後は非常に満足していたようだ。
 幕が降りたあとに、僕が「拍手をずっと続けているといいことが起きるよ」と小声でささやくとニコニコしながら手をたたき続けていた。するとカーテンコールが起こってと喜んでいた。
 その後も手が痛いと言いながらも笑顔で拍手を続ける娘。何度も登場するキャスト。それを見ていると幸せだった。
 客席を後にし、娘がアンケートを書くといったので何を書くのか気になった。「見せて」と頼んだら断られたままアンケートを出していた。
 小学校2年生の娘が何を書いていたのだろう?
 車での帰り道、「ドラえもんは本物だった」と聞いたら、娘は「うん」とはっきりうなづいてくれた。そしてステージの感想から、次第に話が大きくなっていき、あのお芝居に出たいとか舞台を作りたいなどと言ってくれた。

 確かに僕は娘に自分が良いと思ったものを勝手に押し付けたかもしれないけれど、彼女は押し付けられたと思っているのだろうか。
 僕も今でも誰かに何かを押し付けられて生きているのだろうけど、押し付けられているもの全てが悪いものでもないだろう。