淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

キング・オブ・クズ

 1カ月ほど前に村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を読んだ。
 マスヲの中では芥川賞作家の作品を読むだけでも、敷居が高い感じがするので、めったに芥川受賞作品を読むことはない。
 だが、昨年大晦日の紅白審査員として出演されていたときの着物の装いに好感を持ったこと、テレビ番組「アメトーーク! 」の読書芸人第2弾で取り上げられたこと、弟が購入して読んだがつまらなかったと言ったので余計に興味を持ったことが動機になり、弟に借りて読んでみた。
 マスヲの中では読んだ芥川賞作家の作品が少ないので、そこから選ぶのもいささか恥ずかしいが面白い作品だったと思って何人かの知人に勧めたほどだ。

 その中で人は他人の言動がうつる、というようなことが書かれていて、マスヲはそこに印象を強く持った。
 確かによくあっている人の口癖などが知らないうちに自分に伝染しているのを、自分の口から出てからびっくりすることがあるからだ。

 副業の方で一緒に働いているパートの方が何人かいるが、その中でむかしちょっとやんちゃをやっていたような50くらいの女性がひとりいる。
 彼女の最近の口癖が「キング・オブ・クズ」で、彼女は他の飲食店と兼業で働いていて、他の飲食店で一緒に働いている従業員にそのあだ名をつけていて、マスヲに言ってもしょうがないのに悪口ばかりを言っている。

 今の正業の現場でのマスヲの席は、オフィスによくある対面式の10人くらいが座れる島席のちょうど真ん中くらいだ。
「おはようございます」と毎朝こちらは挨拶しているが、こちらに聞こえるような声で返してくれるのはひとりだ。
 島席なので5人に囲まれているので、5人に声掛けしているようなイメージで挨拶しているのに、返答率は1/5。
 マスヲは他の業種から来たせいか、IT業界で働く人は挨拶しない人が多いイメージをすぐにもったが、今の現場は最近の現場の中でも挨拶の面ではかなり酷い現場だろう。

 特にマスヲの右隣と右前の席の男性とは全く相性が合わなく、一日どころか1週間くらい何も話さないことなんてことはざらだ。
 右隣りのヤツは年齢はほぼマスヲと一緒なのだが、自分のことを棚に上げまくって、相手が下だと見ると人の揚げ足ばかりを取ってくるし、相手が上だと思うとこちらから見ていて気持ち悪くなるぐらいへりくだっている。
 ほとほと呆れかけてきたときに例の言葉を思い出したのだ。

 マスヲの中では彼が今年上半期の「キング・オブ・クズ」になりそうだったのだが、強烈に追い上げてくる人物が現れた。
 今年の上半期の残りを考えると競馬のコースでいうと第3コーナーは回っている。
 そんな中で猛烈な勢いで迫ってくるクズがいるのだ。

 彼はマスヲの真後ろに座っていて島も違うし、仕事上の接点もないので一切コミュニケーションを取ったことがないのに、だ。
 年齢は、50は過ぎているように見える男性だ。
 自分が下だと思う相手には年上でも、マスヲの右隣と同じ様な対応を取るばかりか、その上に自分の過去の成功談を絡めて長話をしているのが後ろから聞こえてくるのが、本当にうっとうしい。

 しかも、彼はいつも靴を脱いで椅子の上で足を組みながら相手と話すのだが、今日はこちらが後ろでマスクをしていても嫌な臭いがしてきた。しかも、その時の相手は年下の女性で本当に気の毒だった。

 話の内容も仕事ではなく雑談だった。
ニュースソースが何かも言っていなかったが、男子中学生がなりたい職業にユーチューバーとシステムエンジニアが最近入ってきたということを話題にしていた。
「ユーチューバーはわかるじゃない、最近そういう時代だし」仕方なく女性が合わせていると、クズは続けた。
システムエンジニアシステムエンジニアだってさ。」
 彼は反り返りそうになりながら言った。
「逃げ恥効果かな」と続けたが、言い方がよどみない言い方ではなかったので、きっとドラマを見たこともないのだろう。

 少しでも相手の女性と距離を埋めたいと思って、自分の中では取って置きの雑談をしているつもりなのかもしれないが、彼女との距離はおそらく、マスヲとの距離は確実に広がった。
 しかし、マスヲの右隣の人間との「King」を争うレースでの距離は間違いなく縮まった。
 まだまだ、2人のデッドヒートは続くのだろうか。それとも最後の直線で末脚を爆発させるさらに強烈な「クズ」が現れるのか、「キング・オブ・クズ」に疎いマスヲにはまだまだ、このレースの勝者は予想できない。