淡白マスヲのたんぱく宣言 

40過ぎのおっさんのエッセイ。昨日より、今日見たことや感じたことを書きたいと思っています。

ドナルドダック

  朝、ガラスがぶつかる音で目が覚めた。時計を見ると6時過ぎ。

それが何の音か、そして今日が何曜日かを理解した。

 ガラスがぶつかる音は、空き瓶を資源ゴミの回収箱に入れる音だろう。

 先月に回ってきた回覧板で、資源ゴミの回収日が水曜日から月曜日に変わる案内も回ってきていた。

 

 一昨日の土曜日、娘と実家を訪れたときに実家の門に『組長』と書かれた割りと目立つプラスチックの板が、掛けられていた。

「組長って何」と娘に効かれたが上手く説明できなかった。

 町内会や組長という仕組みは、日本中どこにでもあるのだろうか。

 この地区だけの独特のものなのだろうか。

 

 昨年、マスヲは町内会の組長だった。組長は1年毎の持ち回りで担当するがマスヲの組は9軒しかないために、9年に1度回ってくる。 

 マスヲの住んでいる町内は町内を南北に分断するように幹線道路が走っており、その南北でも土地柄もだいぶ違う。

 幹線道路の北部は昔からの住宅地で真ん中に大きな公園もあり、ずいぶんのんびりした雰囲気で昔からの住人も多い。

 幹線道路から南部は、南端が河川の堤防になっており、その川沿いを中心にむかしから小さな会社や工場、建材屋や運送会社などが多い。

 最近になってからは、住宅が少しずつ増えてきているので、比較的最近住みだした住人が多い。

 ちなみにマスヲは幹線道路の北側に住んでいる。

 

 昨年の何回目かは覚えていないが、ある組長会議のときに、保健委員の方からの申し出で町内会長からの依頼があった。

 資源ごみの回収日に、手の空いている組長に資源ごみの間違った分別の整理や指導、清掃などを手伝ってもらいたいとの提案だった。

 少し前までは保険委員の方だけでなんとか間に合っていたが最近になってマナーが悪くなり、保険委員の手だけでは足りなくなってきたからだ。

 

 町内会長が弱弱しい感じで手伝ってもらえる希望者を促していたが、言い方や調子を変えても手を挙げるものはひとりもいなかった。

 マスヲから見れば当たり前の話だし、時間の無駄だと思っていた。

 

 マスヲはあきれ果てて町内会長に提案した。組長の全員参加を強制にし、参加日を町内会長たちに割り振ってもらえるようにと。

「淡白さん、そうはいってもそれぞれ仕事など様々な事情がみなさんあるから」と町内会長は言い出した。

「そんなことを言っていたら、この会議はいつになっても終わらないですよ。私だってこんな仕事強制でなければやりません」マスヲは呆れて言った。

 町内会長はまだ、言葉を濁そうとするので今度は強い調子で言った。

「仕事なんて言い訳になりません。有給休暇を取得すれば解決する問題ではないですか、計算上は月1回になるはずですよね。」

 それでも町内会長はマスヲの提案に寄り添わなかった。

 他のメンバーの視線がマスヲに集まり、私ひとりが悪者になったような雰囲気だった。

 結局、この議題は町内の役員が一旦持ち帰ることになって、その日の組長会議は終わった。

 

 数日後、町内会長から電話があった。

「淡白さん、あのときは悪かったね。」会長は続けた。「副会長たちとも話しあったのだが結局淡白さんの案しかないということになったんだ、それだけ言いたくて電話して………」

 マスヲは呆れて何も言わなかったと思う。

 

 先日、マスヲが資源ごみを捨てにいくと、顔見知りの人に挨拶された。

「やってみるとなんでも大変だよなぁ」定年後の男性だったが感じよく言っていた。

 

 むかし読んだコラムに物事の本質を捉えたり、解決したりするのはドナルドダックのようなタイプの人間だと書いてあった。

 学級委員タイプのミッキーマウスやミニーマウスはニコニコして議事を進行するだけで、人の好感度を気にしているせいか結局何もしない。

 ドナルドダックは的はずれのようなことを言ったり、会議をまぜかえしたりするが、案外真相を突いたりすることが多いと。

 誰だって人から好かれたいのは分かるのだが、皆がミッキーやミニーでは物語は進まない。