淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

ブレンドよりは

 毎朝寝坊しなければコーヒーを飲む。1人分を自分でハンドドリップして。今のお気に入りの豆はコロンビアだ。
 今飲みかけている豆が切れそうなので、昨日買い求めようとしたらコロンビアは品切れだった。あきらめて他の種類の豆にしようと店員に相談した。すると店員は考え込んでしまった。コロンビアは味の方向性が変わっているので、近い味わいのものはないらしい。
 それでも店員がキリマンジャロを心細そうに推挙してくれたので、買って帰った。久しぶりに違う豆のコーヒーを飲むことになるので、少し楽しみでもある。

 コーヒーを飲む習慣が身についたのはシステムエンジニアの仕事を始めてからなので10年以上は経っている。
 だが、自分でコーヒーを入れて飲むようになったのは、ここ数年だ。しかも、最初は何を飲んでいいかもわからなかったのでいろいろな店でブレンドを買っていた。
 そのうちにいろいろな豆の種類を試してみるようになり、試飲がある店では時間があるときには飲ませてもらうことも多い。

 試飲で最近驚いたのはアイスコーヒーだ。マスヲは基本的には夏でもほとんどアイスコーヒーは飲まない。喫茶店に入ってもまずホットを注文する。
 その時の試飲の印象が良かったのでアイスコーヒー用の豆もコロンビアと一緒に購入した。
 休日の朝にはコロンビアをドリップする前にアイスコーヒー用の豆を1杯分ドリップしてガラスのグラスに移してから冷蔵庫に入れる。
 朝にはホットのコロンビアを、そして暑くなった午後にはアイスコーヒーを楽しんでいる。自分の好みでドリップしたコーヒーを。

 マスヲはコーヒーだけでなくウイスキーも最初はブレンドを飲んでいた。独身のころは余裕もあったのでショットバーでグラスを傾けることも多々あったが、最近は少なくなった。
 ある時、ショットバーでブレンドウイスキーをロックで飲んでいたら、その店のマスターにシンブルモルトウイスキーを勧められてからはすっかりそちらにはまってしまい、今では自分の意思でブレンドウイスキーを飲むことはない。
 コーヒーのコロンビアのようにお気に入りのアイリッシュウイスキーがマスヲにはある。その名前はジェイムソン。最近、口にしていないのでこの文章を書いていたら久しぶりに飲みたくなってきた。もちろんストレートで。

 仕事中もコーヒーを飲むので現場によっては給湯室などでドリップバッグのコーヒーを入れたりするが、案外同じことをしているエンジニアも多い。
 マスヲが給湯室でコーヒーを入れていたらそれまでほとんど話をしたことがなかった男性のエンジニアとコーヒーのことで盛り上がって仲良くなった。喫煙者が喫煙室で親睦を深めるのに似ているのかもしれない。

 ある時に彼からあるコーヒー豆を勧められた。彼はちょっと高いけどお勧めだと話していたので、普段コーヒーを買い求めている店ではなくてデパートまで足を伸ばした。
 彼からデパートであれば買うことができると聞いていたからだ。その豆はハワイコナという種類だ。

 売場の店員にハワイコナの価格を聞くと100グラムで2300円と教えてくれた。マスヲは1杯のコーヒーをドリップするのに10グラム使用するので、1杯あたりに換算すると230円だ。普段飲んでいるものの5倍以上もするので躊躇していると店員がその値段ではお店では飲めないことを言い出した。そんなことは言われなくてもわかっている。
 かなり迷ったが彼と話も併せたいし、たまには贅沢するのも悪くないと考えて購入した。

 彼はちょっと高いと言っていたが、普段どれくらいの間隔で飲んでいるのだろうか。マスヲが普段飲んでいるコーヒーの価格から彼の年収がどれくらいなのかと思わず考えだしてしまった。

 楽しみと興味の混ざった気持ちの中、いつも以上に気を使ってハワイコナをドリップして飲んでみた。正直、味は良くわからなかった。貧乏性のせいか人間が小さいせいか値段が気になってしまい心から味わえなかった。

 数日後、母親がマスヲ宅に用事があって訪れてきた。
 せっかくなのでハワイコナをドリップして飲んでもらった。すると美味しいと何度も言ってくれた。
 母親に豆の種類と値段を言うと感心した様子で、値段の価値はあると言ってくれた。

 それからは何となくマスヲもハワイコナを美味しいと思えるようになったが、たった100グラムしか買わなかったので数杯しか飲めなかった。
 だからといって、すぐにハワイコナを買い求めるようなことはしていないし、おそらくこれからもかうことはないだろう。
 これからもマスヲの身の丈にあった味のわかる豆を買い求め続けるだろう。