淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

別れることが切ないのではなくて

 今朝、仕事に出かける前に久しぶりにある曲を何回も聴いた。小林明子の恋に落ちて、を。夏の朝にそぐわないかもしれないがすっかりはまってしまい通勤電車でもイヤホンで聴いていた。
 誤解の無いように言っておくが、別に不倫している訳でも不倫願望がある訳でもない。だが、何故か聴き出すとピアノの主旋律に切ない歌詞がマッチしていて辞められなくなってしまった。

 生きていれば別れが常に付きまとう。出会いの数だけ別れがある。それが恋であったり、友情であったり、身内同士の間柄でも人の命に限りがある以上、時間には限りがあるからだ。

 もちろん、別れの中には自分の意思で相手から離れた場合もあれば、相手の意思で別れなければならない場合もある。お互いの思いが一致して別れることもあるだろう。
 異性に告白して振られた場合に、こちらから距離を取る場合も自分から別れることになるのだろうか。ありふれた、「お友達で…」と言われたとしても、そうなるのだろうか。
 自分がまだ別れたくないのに、相手と別れることが辛いのは当然だ。
 だが、切ないのは2度と再開できないことではないと思えてきた。
 本当に切ないのは相手との過ごした間に経験したことを共有することが出来なくなってしまうことではないだろうか。
 一緒に見た景色、一緒に聞いた曲、お互いの会話などを懐かしむどころか話し合うことも出来なくなってしまうのが寂しい。

 マスヲは20代までに仲の良かった友人を2人亡くした。
 ひとりは中学と高校が一緒で予備校こそ違ったけれど浪人時代を一緒に過ごした。彼と最後に話したのは1次試験が終わった後の図書館のベンチ。お互いに1次試験での合格通知は届かなかった。2次試験はあるものの合格の見込みは少ないと思っていたためにこれから先のことを話しあった。
 彼は2次試験に合格して大学に入学したが卒業は出来なかった。マスヲは生きてはいるが大学には行けなかった。
 もうひとりは小中学校が一緒だった。彼とは19歳の夏の終わりに4人で北陸に1泊旅行したのが強く思い出に残っている。マスヲはその旅行の前に女子高生に振られていたので、失恋旅行のつもりだったこともある。
 温泉旅館で布団の中に入るとすぐに1人が寝静まった。その後に彼が異性についての話をはじめたのが新鮮だった。彼が異性に興味があるのを初めて知ったからだった。
 だが、その旅の思い出話を彼とすることはもう出来ない。