副業先の責任者はマスヲより5歳ほど年長で10年ほどの付き合いになる。
見た目は自分より背が高く、優男風の甘い顔をしているせいか見た目はそれほど悪くない。マスヲも第1印象はかなり好感度が高かった。
だが、同一人物と付き合い続ける中で彼ほど好感度や期待を下げ続ける人物には未だかって出会ったことがない。この先も彼ほど最初の印象から減点続けさせる人物には出会えないのではないだろうか。
そのせいで、彼とは必要最低限のことしか話さないようにしている。
最近、彼にはファーストネームにちなんでマコちゃんという可愛らしいニックネームが着いたが、その可愛らしさも彼の思考レベルに幼稚さにちなんでつけられたような気がする。
マコちゃんのエピソードは取り挙げはじめたら一冊の本になりそうなくらい豊富なので、今回はその中からひとつだけ紹介する。
数年前に彼がシフトのスケジュールの話をしてきた。店のバイトやパートのスケジュール調整が上手くいっていないことがわかった。その状況の理解を一方的にこちらに押し付けてきたのだ。かなり上から目線の言動で。
いくら相手が年長で頭がゆるいことがわかっていても、我慢しきれずに正論として言いたいことを言わせてもらった。彼はその後に一言も反論できなかった。
翌週に彼に会ったときに500mlの特保のコーラー1本をマスヲに差し入れてくれた。マスヲが夏の間は仕事中に口にすることを気にしていたのは意外だった。
謝罪の言葉などはなかったが他の店の従業員たちと彼が自分に非があったことを認めたからこそ、そのお詫びだろうと噂になった。私は何ももらったことが無いと未だに口にするパートの人もいる。
マスヲだけでなく、他の従業員も彼女の方がお礼やお詫びとして何かを受け取る権利があると思っていることだろう。
それにしても、いい大人が人にお詫びする相手に200円に満たないものを1本だけ相手にプレゼントできる感覚は素晴らしい。どうしたらそのような微妙な感覚を備えることが出来るのだろうか。
そんな彼から今日、11月の3連休のスケジュールについての打診が珍しくあった。彼が何も考えずにお気に入りの従業員に3連休を与えてしまったことが原因だろう。
彼の愛読者を何冊か聞いたがあまりにも恥ずかしいのでここでは書けない。たまにはもうちょっと違う視点で物事を考えられるような本を読んでくれないだろうか。読書の秋だから。