昨夜、夜遊びからの帰宅時に小学校から高校まで一緒だった同級生が同じ電車に乗っていた。こちらが先に気がついたので声をかけた。かなり酔っていたようだった。
彼の自宅は知らないが最寄りの駅が近いために朝夕たまに見かけるが最近どころか、数か月は顔を見ていなかった。
自分は定時で帰ってから夕食と入浴を済ましてから遊びに出かけたので私服。彼は仕事帰りにそのまま会社のメンバーと飲んでいたようでスーツ姿。スーツは彼と同じくらい疲れていたし、髪の毛もハゲ散らかしの兆しが出ていた。
彼の会社でのポジションは部長。しかも所属している会社が最近、東証一部に上場した。彼とは業界どころか職種も一緒。自分よりも世間の評価は高いだろうし、給料も比べものにはならないだろう。
話しかけると彼がかなり酔っているのがわかった。呂律も少し回っていない。聞きもしないのに同じ会社の違う部の部長と一緒に鳥貴族からキャバクラにはしご酒をしていたことを話してきた。
上場会社の部長達が鳥貴族を利用するなんてあまりにも寂しすぎるとは思ったが、何も言わずに、話をあわせていた。
同じ駅で降りてホームを歩いていると、彼は自分のある友人の名前を連呼しだした。その友人は部長と自分と同じように、小学校から高校までが一緒だった。
部長は今から自分の友人を誘って3人でお酒を飲もうと言い出す始末。平日の日付が変わろうかという時間にも関わらず。
自分が彼をたしなめていると、彼はしんみりと言った。
「俺って中学や高校の友人がいないもんな」、と。彼の言葉を聞いても全く同情する気は起きなかった。今の状態は過去の自分が望んだ状態だということをわかっていないのだろうか。自分はこの考えを中学校からの友人が聞かせてくれたおかげで、今でも時々自分に言い聞かせている。
高校に入学した当初は部長の方が早く高校生活になじんでいたように見えた。自分は1年生の担任と性格的にあわなかったこともあり、高校生活になかなか溶け込めなかった。体重も1年間で8キロ痩せた。
だが、2年生になってクラスと担任が変わったことが大きかった。クラスが変わって気を許せる友人が何人かできた。まさか将来その中の友人の1人が縁で自分が結婚することになるなんて、そのころの自分には想像も出来なかっただろう。
彼と別れてから酔いながらも考えた。他人と自分を比べるよりも昨日の自分と今日の自分を比べることはよく見聞きすることだ。
だが、たまには他人と自分を比べて自分を見直すことも必要だということも感じた夜になった。