淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

Midnight Flight - ひとりぼっちのクリスマスイブ

 40年以上も生きていればクリスマスに思い出があるように、クリスマスソングにも思い出が多々ある。クリスマス近くになるとクリスマスソングばかりをヒトカラで歌いたくなるが、今年はまだ出かけていない。

 その中の一曲は浜田省吾の『Midnight Flight - ひとりぼっちのクリスマスイブ』だ。
 この曲を知ったのは高校生のころ。高校では放送部に在籍していたためにお昼休みには仕事があった。お昼の放送だ。自分が卒業した小学校から高校全てにあったが今時の学校にはあるのだろうか。

 内容は女性部員によるディスクジョッキーと呼ぶには大袈裟なアナウンスと音楽を流すことだった。
 部員それぞれが好きな曲を持ちよって選曲していた。自分の話し相手によくなってくれた同級の女性部員が浜田省吾のアルバムから数曲を選曲したことがあった。
 自分は聞く曲全てが新鮮だった。同じ歳の彼女がこんな大人びた歌詞の歌を聞いているのに驚いた。
 記憶がおぼろげだが、放送後に彼女に浜省のCDを借りてテープにダビングしたことをなんとなく覚えている。
 そのアルバムの中に選曲されていた一曲が『Midnight Flight - ひとりぼっちのクリスマスイブ』だった。

 そんな彼女を自分は一度だけ泣かしてしまったことがある。部活動での最中に『ブス』と言ってしまったからだ。
 何故そんな発言をしたのか、話しの前後はまったく覚えていない。彼女は大粒の涙を流して泣き出した。彼女の友人たちがすぐに集まってきて彼女を慰めはじめた。彼女たちを見て自分はオロオロするしかなかった。
「謝りなさいよ」彼女と一番仲の良かった女生徒が言った。
 自分はその言葉を無視した。本当は誤りたかったのに。
 今思い返すと彼女に対して友達以上の気持ちがあったからだと思う。高校生のころの自分は情けないほどに子供だった。

 彼女は部活動の時間が終わるまで泣いていたと思う。自分も後悔する気持ちが強くなっていたので、あることを思いついた。
 彼女は学校まで電車通学だったが、自分は最寄りの駅から学校までは自転車で通っていた。彼女が帰宅するために降りる駅まで自転車で先回りして謝ろうと思ったのだ。

 部活が終わると自転車を走らせて彼女が降りる駅に急いだ。着くと駅の出口の物陰で待ち伏せしていた。彼女に謝るために。
 電車が到着して彼女が出口から出てきた。彼女を見ると自分に謝ることを促した友人と一緒に話しながら歩いてきた。
 彼女の表情を見ると笑っている。友人との会話に夢中になっているせいか、明るい表情をしていた。自分にとってはついさっきまで泣いていたと思っていたのに。
 談笑しながら歩いて行く2人を結局自分は見送ってしまった。あっけにとられながら。
 浜省の大人びた歌詞のクリスマスソングを聞くと、子供じみた自分の態度を思い出してしまう。