淡白マスヲのたんぱく宣言 

40過ぎのおっさんのエッセイ。昨日より、今日見たことや感じたことを毎日書きたいと思っています。

信州路へ 【飛騨・信州路の冬のひとり旅 その5】

 7時前に目が覚めた。体は少しけだるい。昨夜のお酒が少し残っていたのかもしれない。目覚ましのためにも朝風呂に入ることにした。少し熱めの温泉の効果もあって幾分身体も楽になった気がする。
 湯上り後、またベッドに入ってまったりとして時間を過ごした。

 時計を見るといつの間にか8時を過ぎている。今日は高山から安房トンネルを通って長野県に抜けて、ホームゲレンデである野麦峠スキー場で滑走する予定だった。お腹も空いてきたので、朝食も食べたい。
 ホテルは素泊まりのプランで泊まったので、朝食は着いていない。チェーン店の牛丼屋で朝定食を食べようと考えて、インターネットで調べると付近に吉野家すき家があることがわかった。

 着替えて車に向かった。外が寒いことはわかっていたので車のアイドリングをしておくために。
 ホテルの玄関から駐車場を見ると停車してあった車はほぼ白くなっている。自分の車を見るとフロントガラスに最近では見たことがないほどに霜が氷着している。
 エンジンをかけて何回かにわけて荷物を車に乗せた。チェックアウトを済ませて車に乗り込もうとしても、フロントガラスの視界は悪いままだ。
 ホテルの玄関先に用意してあった霜取り用のブラシでなんとか視界を確保した。

 ナビの目的地に牛丼屋をセットしてホテルを後にした。牛丼屋は国道沿いにあるが、ホテルのある市街地をなかなか抜けることが出来ない。
 昨夜飲み歩いている時とは違って、車も通行人も多く見かけた。陽が差しはじめているとはいえ、外はおそらく氷点下以下だろう。
 市街地の道をゆっくりと走ると、右手に車が多く停車している店を見つけた。気になったのでよく見るとうどん屋だった。車の出入りがあったので営業しているようだ。
 お酒を飲みすぎた翌朝のうどんは魅力的過ぎる。車を駐車場に入れた。

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朝からやっていたうどん屋さん
 入店すると厨房やお客が食べている丼から湯気が上がっている。見ているだけでより空腹を覚えた。他の客の動向から自分の食べたい商品の食券を券売機で事前購入するシステムのようだ。
 迷ったが天ぷらうどんを選んだ。金額は410円。

 前の客を真似て厨房カウンターの前の列に並んだ。自分の番になったので、食券を女性の店員に渡した。彼女に尋ねられた。うどんでいいですか、と。自分は了承する。
 次々と先に注文していたお客の商品がカウンターに出されていく。お客は自分でそれを受け取ってお盆に載せて思い思いの客席へと運んでいく。
 先ほど食券を渡した女性店員と目があったので、気になったことを質問してみた。うどんの他に何があるのかを。彼女はきしめんそばがあることを教えてくれた。
 そばも気になったが名古屋っ子としてはきしめんも気になる。次回、立ち寄ることがあったら今度はきしめんも食べてみたい。
 自分の天ぷらうどんが出来上がると窓側のカウンターに座って食べはじめた。コシの強さを主張するようなタイプではないが、朝食べるにはふさわしいソフトな感触だった。あっという間に食べ終わると、丼を返却口まで運んでから退店した。

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注文した天ぷらうどん
 市街地から国道に入ると気持ちよくドライブできた。車を走らせ続けると少しずつ歩道や裏道に雪が目立つようになっていく。
 丹生川を過ぎてしばらくすると国道にも雪が目立ちはじめた。スタットレスタイヤを履いてはいたが速度を落としてより慎重にハンドルを握った。

 ほおのき平スキー場の辺りまでくると一面は真っ白になった。このゲレンデが魅力的だと度々耳にしている。いつかは滑ってみたいと思いながらも通り過ぎる。このころから後続車に道を譲ることも増えてきた。
安房トンネルの入り口に差し掛かると歩行者の集団を見かけた。ツアー客だろうか。冬のこの時期にどういった目的で何を観光するために寒い中、歩いていたのだろうか。自分には見当もつかない。

 長いトンネルを抜けて長野県に入った。ここからは信州路。気が付くと車がめっきり少なくなっていた。時折、対向車とはすれ違ったが。上高地の入り口をかすめて国道158号線を進んでいく。
 乗鞍高原へ向かう道との交差点を通過すると、急に車が多くなってきた。道の積雪はあきらかに減っていたが、前が車で詰まっているためにペースが遅くなった。

 右手に梓湖が見えてきた。奈川渡ダムの3差路を右折して県道を走らせれば、野麦峠スキー場まではあと少し。この辺りからトイレに行きなくなってきた。
 しばらく行くと県道のバイパスに入り、その道路わきに地産の直売所があることを記憶していた。建物はまだ新しくお手洗いが綺麗だったことも。
 トイレを我慢しながらその地点を目指した。幸い県道に入ってからは車が減っていたし、道に積雪はほとんどなくなっている。自分が思うようなスピードで車を走らせた。
 バイパスに入るとさらに速度を上げて、トレイを目指した。松本市役所の支所を通りすぎるとあっという間に広い駐車場が右手見えてきた。
 駐車場には車が1台もいない。車から降りて建物に近づくと冬季は閉鎖されていることが掲示してあった。がっかりしながら車に戻る。

 諦めてスキー場の入り口にある『そばの里 奈川』のトイレに急いだ。ホームゲレンデに行くときにはほぼ毎回利用させてもらっているので、閉鎖はされてはいないだろう。
 県道のバイパスを急ぐと旧道に合流した。前に1台地元の軽トラが走っている。スキー場に近づくにつれて、道路わきの雪がまた少しずつ増えている。
 軽トラが脇道にそれた。だが、そのころの車道にはところどころ積雪している。慎重にかつ大胆に先を急いだ。
 なんとか『そばの里 奈川』にたどり着き、お手洗いを利用した。

 スキー場に到着すると10時を過ぎている。着替えてゲレンデに向かった。昨日、朝は雪が降っていたが午後になるにつれて少しずつ天気は回復してきたが、今日はどうだろうか。雲が広がっている。
 夕方に10年以上あっていない友人とお酒を飲むことになっているので、ゲレンデを14時には去ることを決めていた。

 昨日のスクールで教えてもらったポイントを確認しながら滑った。SAJのバッジテスト2級の検定種目を意識して。
 その中でも基礎パラレル小回りを重点的に練習した。昨日の半日の指導の中では練習のポイントと自分についている癖で修正した方がいいところを指摘されていたからだ。正直言うともう少しだけ、昨日の講義を受けたかった。自分が朝起きられなかったので自業自得ではあるのだが。
 昨日も真剣に滑ったのでオッサンの自分としては疲れている。しかも小回りは指導員でも滑っていると疲れることも教えてもらったので、自分であればなおさらだ。

 12時過ぎに軽食を取ることを兼ねて休憩することにした。曇りがちな天気のせいもあって身体も冷えてきたからだ。
 コーヒーショップでパンセットを注文した。実は野麦峠スキー場の一昨年から営業をはじめたコーヒーショップは隠れたゲレンデの名物になっている。近隣のスキー場の客がわざわざコーヒー目的で訪れるという噂を聞くくらいの。
 実は自分はここのコーヒーを飲むのは今年初。今自宅では昨年この店で初めて味わった『ケニア』を飲んでいる。そのことを顔なじみの店員に話すと嬉しそうに、今日のコーヒーについてもうんちくを語ってくれたので、参考にしてコスタリカを注文した。

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本日のコーヒーの説明がされている
 一口飲むとやはり美味しかった。最近飲んだコーヒーと比べると次元が違う。豆だけでなくやはり淹れ方の技術も相当高いのだろう。
 パンを食べながら残りのコーヒーを味わった。ストーブで身体を暖めながら。

 胃も少し満たされたので、あと少しだけ滑り込むことにした。午後からリフトの乗車回数は2、3回だったと思う。
 13時過ぎにはゲレンデを後にした。ゲレンデ滞在時間は3時間ほど。今シーズン最短の時間だがそれなりに手ごたえも感じていた。ゲレンデ入り口近くにある日帰り温泉施設の湯船に浸かりながら。

 いつもと逆方向から野麦峠スキー場にアプローチしていたために、帰り道の積雪状況がわからなかった。スキー場は合併のために今は松本市になっていて、隣の木曽町との境界にある境峠は雪が積雪しやすく、道路状況が悪くなりやすい。
 若いころに友人が運転する助手席に座っていたときに、対向車との事故が起きたことも今となっては思い出のひとつだ。友人も自分もたいした怪我がなかったこともあって。
 駐車場で名古屋ナンバーの車で訪れていた人に話を聞くと、道路状況は悪くはないと言っていた。

 県道を進んで行くと車道の残雪が増えていく。境峠に近づくにつれて、慎重に車を進めた。つくづく価値観や感覚は人によって違うことを思い知らされた。
 なんとか境峠を越えた。ここからはようやく木曽路だ。まだ、安心はできない。たいていの場合、峠を降りるまでは松本市側よりも木曽町側の方が雪は多いからだ。友人の事故もこちら側だった。
 慣れているせいもあり、無事に峠道を降りきった。ここからはほとんど積雪もなく国道19線までも走りやすい。

 国道19号線を走行中、時折雪がぱらついた。もちろん積もるほどではないのだが。まるで誰かが何かを伝えているようでもあり、何かの演出でもあるかのように。
 中津川からは中央道に乗り、無事に家まで帰宅できた。友人との飲み会にも間にあった。

 この2日間で感じたことがある。今まで『旅』と『旅行』を自分では区別していた。その違いというのを上手く説明できないのに。自分の中での定義も曖昧だった。
 1泊の場合は『旅』になりえないと考えていたが、この2日間の行動を文章にしながら振り返ってみると、少なくとも『旅行』ではなかったと思う。
 その違いについての答えは明確にならないかもしれないが、これからも自分なりに探し続けていきたい。(了)