淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

自己責任

 昨日の友人とのゲレンデから彼の自宅への道中での会話中、気になる言葉があった。その言葉は『自己責任』。
 友人が独り言のように言ったのだ。世間はいつのころからその言葉を使うようになったのか、というニュアンスだったと思う。続けて、イラクでの日本人人質事件がきっかけではなかったかと。

 彼も自分もそれまでは日本の社会は今より相互扶助的な雰囲気があったと思うことで一致した。
 だが、自分は違うことも考えていた。彼は人質になった人間が何故あの時にイラクに行ったのかが気になっていたようだ。自分も事件が起きた時にはほぼ同じように思っていたが。

 30歳のころにバックパッカーをしたことがある。小学校からの友人と2人で1か月。東南アジアの国々を。
 人質事件の話をしていたときに、一緒に旅した彼は次のように言った。旅行したあのときのノリだったら自分もひょっとしたらイラクに行ったかも知れないと。
 お酒の席だったが、それでも自分よりはかなり慎重な彼がそう言ったことにびっくりしたので、今でも忘れられない。彼の言葉によって考え直すと自分もひょっとしたらと思えてきた。

 何度か海外に出かけたことがあるが、いつもあるバランスに注意を払っている。どこまで緊張を緩めるかということに。
 プライベートでの海外であれば、楽しむために出かけているはずだ。だが、過度の緊張をしていたらせっかくの旅行や旅も楽しめない。
 かといって、出かけた先の国によってはある程度は自己防衛のために緊張しなければならないのも事実だ。

 実際、東南アジアを旅していたときの前半は慣れていないことが多いこともあって楽しむという観点は薄かったと思う。必要以上にガイドブックや外務省のホームページの情報に感化されてより慎重な行動をしていたせいだ。
 旅も後半になってくると上記の情報が過度すぎると感じることが増えてきた。緊張を解くことが多くなり、旅を楽しめることが増えた。

 人質事件の後はマスコミでも仕事先でも一時期は異常なくらい『自己責任』の言葉を聞いた気がする。今では多少収まってきたが、その言葉が蔓延した後の世間での冷たさは残ったままだ。
 どのような言葉が流行ったら、むかしのような温かさが世間に戻るのだろう?
 それこそ、人気も実力もあるお笑い芸人に『他己責任』という言葉をネタで流行らせてもらえば、少しは世間が温もりを取り戻せるのではないだろうか。