淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

水仙

 20代のころ花を扱う仕事をしていた。最初は生花の地方卸売市場でアルバイトをしていたが、そこに買い付けに来ていたお客の会社で社員として働くことになった。
 そのお客の会社の仕事は生花の仲卸。商品を地方卸売市場で買い付けて、仕入れにきた生花店に販売及び配達するのが主な仕事内容だった。

 退社するきっかけは経営状態が思わしくないために、従業員に対して社会保険を辞めるという通告が一方的に会社からされたことが原因だった。
 ある可愛がってもらっていたお客から、その業界に残ることを考えていないことを話すと、もったいないと言われたが、自分の意志は固かった。どうしても、商品である花に対して強く興味を持てなかったからだ。

 生花の卸業に関わっている若い人間は、ほぼ目的意識を持っていた。
 花を育てている農家、生産者の子弟がどんな商品が好まれるのかを勉強するために働いているケース。生花店の子弟が店を継ぐために修行しているケース。いつか自分で生花店を経営したいと考えているケースのいずれかがほとんどだった。

 自分が勤めていて会社の先輩の1人は実際、自分の店を開いた。
 自分が働いていたときに3歳ほど年上の女性がアルバイトとして入社したが、彼女の目的も自分のお店を持つことだった。
 また、あるお得意様から自分の息子をマスヲが勤めていた会社で働かせたいといった要望があった。その後、実際にその息子と一緒に働くことになり、今では彼が後を継いで店を切り盛りしている。
 年齢が自分と一緒のこともあり、彼とは今では友人だ。余談だがお互いに独身のころ、彼に何回かコンパを開いてもらったこともある。

 もともと、その仕事に就くまでほとんど花には興味がなかった。生花の業界に6年以上も関わっていたのにもかかわらず、辞めることになったときも花に対する興味はそれほど強くなってはいなかった。
 だが、好きな花はいくつかできた。そのうちのひとつは水仙だ。自宅の庭先にも植えてあり、今年もつい先日まで花を咲かせていた。

 いつかは福井まで出かけて、海岸沿いに咲いている越前水仙の群生を見てみたいと思っているが、なかなか機会に恵まれない。
 オッサン1人が冬の日本海に佇んでいたら、自死のためと勘違いされそうだし、友人と行くのもオッサン同士となってしまうので、ミスマッチな気がする。
 気軽に一緒に行ってくれるガールフレンドが居ればと思う、数少ないシチュエーションのひとつだが、今のところそんな女性はいない。
 そんなことを考えているうちに今年も越前水仙の見ごろが過ぎてしまった。