今日、午前中の終わりに少し気分を害することがあったので、ランチに何を食べようか迷った。
自分の心にキックを入れるような食べ物を食べたいと思った。名古屋男性のソウルフードを食べようかと考えたが、少し迷った。その商品を提供する店はホスピタリティにややかけるからだ。
だが、やはり自分に活を入れるためにも、ソウルフードを食べることにした。
その食べものとは、あんかけスパゲッティ。最近は名古屋めしのひとつとして、取り上げられることも多い。
地元の男性には人気があるものの、女性にはあまり人気が無いようだ。
あんかけスパゲッティを提供する店の客層は圧倒的に男性の割合が高いことからも。90%以上は男性客ではないだろうか。
自分があんかけスパゲッティを好んで食べるようになったのは、今の職種についてからだ。それまでは、自分から食べに行くようなことはなかった。
積極的に食べるようになったきっかけは、システムエンジニアとして最初に働いた会社の近くに、人気の店があったからだ。
残念ながら、今はもうなくなってしまったが。
その店のランチは少し変わっていた。日替わりのあんかけスパにスープ、サラダとあるものが一つついたのだ。あるものとは、おにぎり。温かく海苔がパリッとしていて、美味しかった。
炭水化物に炭水化物なんて、関東の人間からは信じられないかもしれないが、関西人ほどではないかもしれないが、名古屋人にとってはそれほど抵抗がない気がする。
きしめんや味噌煮込みを食べるときにも、白いご飯があった方が自分は嬉しい。
そのランチの値段は確か、750円だったと記憶している。ボリュームがあるスパゲティにおにぎりがついたので、食べ応えは充分だった。
今日のランチも実はあんかけスパに、サラダとライスがワンプレートに載ったものを注文した。
スパゲッティのソースが隣のご飯に浸食して、上品には見えないが、ソースが少し染みたご飯も自分は割と好きだ。 だが、この店には多少の問題がある。あんかけスパゲッティを提供する専門店は客に男性が多いことを意識しているからなのか、客同士の席が異常に近い。ラーメン屋のカウンターなみに。今日、自分が入店した店も。
自分と一緒に通された中年の男性客が1人居た。彼は自分と一席分空けて座っていたので、店員に詰めるように促されると、小言を言いながら顔をしかめていた。
あんかけスパが提供される前に、サラダが彼の前に店員が雑に置いた。
彼はサラダの皿を目の高さまで持ち上げて、しげしげと見ていた。皿からキャベツの千切りが、柳の枝のようにこぼれているのを気にしているようだった。
メインのあんかけスパが配膳されると、パスタプレートも彼は高く持ち上げた。サラダ皿よりも高く。薄暗い店内でプレートの底の汚れでもチェックしているかのように。
そのあと、晴れない表情のまま彼はスパゲッティを食べはじめた。
自分の方が先に食べ終えたので退店したときには、彼は食事を続けていた。箸ではなく、フォークの進み方が遅く見えた。
彼はこの店に訪れたのは初めてだったのだろうか。もし、そうなら再来店するのだろうかが、気になった。