淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

セーラー服おじいちゃん 【秋の二都旅行 その1】

 久しぶりに旅行をした。昨日から今日までの2日間。旅行先は大阪と京都。旅行の目的はふたつ。
 鴻上尚史が作、演出を手がけた演劇、『ローリング・ソング』を観劇することと、転職したために愛知から京都に引っ越した友人と再会することだ。

 鴻上尚史が手がけるプロデュースユニット公演、『KOKAMI@network』は地元の名古屋で公演されることが少ない。前々回の『ベター・ハーフ』の際は松井玲奈が出演することもあってか、名古屋公演があったのだが、前回の公演も名古屋公演がなかった。
 前回の公演、『サバイバーズ・ギルト&シェイム』は時間とお金の都合がつかなかったので観劇を諦めたが、今回は諦めたくなかったので大阪での観劇を計画した。
 京都に引っ越した友人にも会いたかったので、声をかけて。阪急の京都線を利用すれば、大阪公演が行われた梅田までの利便性はそれほど悪くないからだ。

 昨日は朝10時過ぎに家を出た。3連休初日の午前中に、いつも通勤で使っている電車に乗車した。
 普段の週末なら混雑していないことが多いのに、電車は座れないほどだった。平日の通勤時ほどではないけれど。
 途中でJRのローカル線に乗り換えても、混雑していた。電車内はカップルや家族連れの割合が高かった。荷物が多い乗客も多く、キャリーバッグを引きずっている人も目立った。

 3連休の初日だったことを想定して、先週の水曜日には大阪までの新幹線の指定席を取っていた。混雑している車内は好きではないので、のぞみをさけてひかりを選択して。
 名古屋駅でローカル線を降りて、新幹線の改札に向かうと自分が考えているよりも混雑していた。
 自分が想定していなかったのは、考えていた以上に外国人が多かったことだ。

 自分が取った指定席は3人掛けの一番窓側。通路側は誰かが座るだろうが、真ん中の席はひかりなので空席かもしれないと高をくくっていたら、カッターシャツを来た若いサラリーマンが座った。通路側は20代に見えた若い女性だ。逆だったら、少し嬉しかったのだが。

 先週の後半は残業続きであったこともあって、座るとすぐに眠気が訪れたので、逆らわずに目を閉じた。
 京都駅に到着する案内で目が覚めた。新幹線だと、京都から大阪は早いので、眠らずに車窓を見ていた。

 新大阪に着いた。父親が亡くなる前年である数年前は、大阪へは毎週出張で訪れていたので、慣れていると思っていたが、いきなり大阪駅へ向かうためのローカル線への乗り換えのための改札の方向を間違えた。
 新大阪の構内は自分が考えていたよりも変化していたためだ。昨年も来ているはずなのに、と己の記憶力を疑いたくなったが、そもそもそのこと自体が思い込みだった。
 このblogで調べたら、昨年は大阪に来ていないことがわかったからだ。

 迷いながらも、大阪方面へ向かうホームにたどり着いた。さすがにローカル線のホーム自体はそれほど変わっていなかった。
 だが、ホームに変わった人を見つけた。その人は白髪をはげ散らかしながらも、長髪にしていた。真っ白な髭も伸ばしていた。
 見るからにシニアの男性なのだが、似つかわしくない服装をしていた。セーラー服を着ていたのだ。スカートは当然、スクールバックまでもコーディネートしていた。完全にガチなやつだった。

 地元の名古屋だったらいざ知らず、大阪だったらそれくらい変わったやつが居ても、皆気にしないだろうと思っていた。
 だが、ホームで近くにいた若いカップルが声をひそめていた。彼らも少しはセーラー服じいちゃんのことが気になったみたいだ。

 ホームに電車が停まったので、乗り込んだ。隣のホームにも少し遅れて電車は停まった。
 セーラー服じいちゃんは自分が乗らなかった方の電車に乗っていた。
 2両の電車は新大阪から大阪まで併走し、ほとんど同時に大阪駅に到着した。
 どちらの車両もほとんどの乗車客は大阪で降りた。ホームを見るとセーラー服とスクールバッグも見えていたが、次第に人混みに消えた。

 友人は阪急電車で来ることがわかっていたので、グランフロントの逆側に向かったが、友人と詳しい待ち合わせ場所を決めていなかったので、お互い多少合流するまでに時間がかかった。
 携帯電話の普及で、待ち合わせ時のすれ違いは少なくなっている。その分、待ち合わせを約束する際の取り決めがルーズになっていることに気がついた。

 数か月ぶりにあった友人に、真っ先にセーラー服じいちゃんの話をした。関西では珍しくないのかと思って。
 友人は名古屋にも昔、セーラー服おじさんがいたことを引き合いに出した。
 確かに、お互いが知り合った20歳のころにはいたが、最近は噂にも聞かない。彼は今、どうしているのだろうか。
 大阪についてすぐ、セーラー服じいちゃんを見たことによって、地元でむかし噂になっていた変人のことを思い出すことになるとは、思ってもいなかった。
 旅行はまだ、始まったばかりだというのに。(つづく)