淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

今朝の11時までは

 昨日、人生初の給料遅配の経験をしたマスヲ。会社からのメールでは朝一番で対応すると連絡されていたので、銀行の営業が始まる時間に口座を確認した。
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 結果は、未入金だった。やっぱりという気持ちと、少しワクワクする気持ちが入り交じっていた。

 今日は心療内科への通院日。診療の予約時間は11時。通院日の朝は、普段の平日よりものんびりと過ごすことができる。
 電車に乗る時間も通勤時間から外れているために、混雑とは無縁だ。車内でも座れるので、乗車中に何度か自分の銀行口座を確認したが、入金はされていなかった。

 もし、今日中に給料が入金されなければ、明日は休む気まんまんだった。給料の入金が確認できた翌日からしか、出勤しないことを連絡して。
 今月支払われるべき給料は、先月までの労働の対価と経費である交通費。昨日、今日の労働対価ではないので、自分なりに筋は通っていると考えていた。

 考えは飛躍して、会社の資金繰りが上手くいっていないことも想定しだした。会社が解散すれば、最短で失業保険がもらえる。
 派手な夜遊びは出来ないが、しばらくはのんびりとした時間が過ごすことができる。多少の貯金を崩しながら地味に生活すれば、住宅ローンだって支払えるはずだ。しかも残りの支払い回数は年内までの数回だ。

 高額だった借金の支払いが完了すると、年が明けてスキー場はハイシーズンを迎える。コンディションが一番良い季節をゲレンデでバイトをしながら、スキーを楽しむ生活を思い描いていた。

 自分が通院している心療内科が入居しているビルは現在、内装を補修中。そのために、クリニックに向かう際にエレベータで男性の塗装職の人と同乗した。年齢は自分よりも少し若そうだった。
 彼に話しかけた、景気はいい、と。まあまあですね、と彼は答えていたが笑顔だった。
 まあまあならいいじゃない、と自分は言って次のように続けた。昨日が給料日だったけど、会社がまだ支払ってくれていないことを。
 話には聞くけれどそんなことはあるんですね、と彼の目は少し見開いていた。
 彼の目を見ながら、うなずいた自分。彼に自分の表情はどのように映っていたのだろう。

 予約診察時間前に受付を済ますと、ほぼ時間通りに診察室に呼ばれた。1年以上、お世話になっている主治医に。主治医は自分よりも年配の女性だ。
 毎回、問診の際には近況のことを聞かれる。今日は給料が未払いであることも話した。

 診察が終わって、会計を待つ間にスマホで自分の銀行口座を確認すると、朝一番ではないが入金されていた。本来であれば、昨日に支払われるべき金額が。この時点で自分の野望はついえ、妄想は収束した。

 午後からは現場に出勤した。昨日までと同じように泥臭く、地味な作業を黙々とこなした。
 世間のサラリーマンの大半は、昨日と同じ今日が続くことが当たり前だと思っているだろう。
 そんな中で自分も含めた同じ会社の人間は、1日半の間だけ淡い夢が見ることができたが、その夢の見心地はどうだったのだろう。悪夢だと思った人が多かっただろうか。それとも………。
 自社の忘年会で同僚に再会したときの話題にも、なるだろう、きっと。