村上龍の著作、『無趣味のすすめ』を読んだことがある。たしか数年前だが読了後、それなりに当たっている部分もあると思った。
だが、今は違うと断定できる。趣味は人を変える、変わることを自分で実感したからだ。
まず、そのことに踏み込んでいく前に自分が考えている趣味の定義をはっきりさせたい。
自分の中ではゴルフ、麻雀、囲碁や将棋は趣味だとは思えない。理由は独りだけでは出来ないので、誰かしら相手を巻き込むからだ。
このことは、自宅から近くにあって普段からお世話になっている、自動車整備工場の社長が言った言葉で気づかされた。
その社長は昔、麻雀とゴルフを嗜んでいたようだが、あることに気がついて辞めた。その理由とは相手がいること。
麻雀なら4人集まらなければならないし、ゴルフならば一緒にラウンドするメンバーが必用だ。
最近のゴルフ場も経営が厳しいために、平日ならば1人でプレーできるコースも増えているとも聞く。1人でラウンドすることを厭わないのであれば、趣味と言えるかもしれないが。
自分の中での趣味とは、突然に時間ができたら何を置いても取り組みたくなるものだと考えている。
実際にこのblogの記事でも書いたが、一昨年の冬に参加していたプロジェクトでインフルエンザが蔓延したためにプロジェクト閉鎖、一定期間の出勤停止になった。そのことを聞いた瞬間にスキーに行くことを何の躊躇もなく決めた。こういう衝動に駆り立てるものが趣味だろう。
といっても、ギャンブルは趣味だとは考えていない。かつては競馬、パチンコやパチスロに熱くなっていたが、今ではそんな自分が滑稽にさえ思う。
確かに1人でも愉しめるが、若いころの自分は友人と連れだって、一緒に賭場に出かけたものだった。若き日の過ちというところか。
趣味を持つメリットは価値観が豊かになること。今まで付き合っていた人の違った面に気づけること。更に、新しい人とも交流できるようになることにも気がついた。
自分もスキーだけでなくスノーボードを始めてみて、スノーボーダーの気持ちがわかったことが大きかった。鈍感な自分にとって、何事も体験しないと相手の気持ちを理解するのは難しいからだ。
今は1人、ゲレンデでスキー板を履いているときも、スノーボーダーとも平気で話せる。
年配のスキーヤーがスノーボーダーのことを一絡げに悪く言っているのを聞くと、偏狭な人だと思えてしまう。かつての自分もそうだったが。
カメラで写真を撮ることに面白さを見いだしてからも、自分は変わった。
日常の中に、記憶に残しておきたい素晴らしいシーンがたくさんあることに気がつけたことが、一番大きい。
今まで付き合っていた友人の何人かの見方も変わったし、新しい知り合いも何人か増えた。本格的に凝り出してから、まだ2ヶ月足らずだと言うのに。
交際する人が変わるということは、大前研一の言葉ではないけれど、人生も変わるはずだし、変わっていくだろう。
だが、母と弟は自分のカメラへの興味を、結構冷ややかに見ている。自分が飽きっぽいことを知っているからだ。
自分でも今のようなカメラへの熱意がどれだけ続くかも、興味を持っているが、果たして…。