淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

七月の通り雨の後に

 我が家のリビングは家の東南の角にある。東に小窓、南には大きなガラスサッシがあり、それぞれの窓には白いレースのカーテンがかけられている。
 今朝、そんなリビングでパンをかじりながらスープを飲んでいると、穏やかな気持ちになった。
 東の小窓からは陽射しが差し込み、網戸と白いレースによって拡散された初夏の陽射しが柔らかく部屋を包み込んでいた。
 開け放ってある南のサッシからは、南風がレースのカーテンを揺らしていた。
 なんだか、今年の夏は気分のよいまま過ごせそうな予感がした。根拠は全くないし、季節の中では夏が一番嫌いなのに。

 今、叔父が入院している。母方の叔父で、母の弟になるが、母との血の繋がりはない。母は幼いころ、育ての親から養女として、育ての親に託されたからだ。
 母によると、最初の育ての親の両親は良い人物だったらしい。ただ、人生とは皮肉なものでその両親は母が養女に出されてそれぞれが亡くなってしまい、その度に後添いをもらったために、母親の育ての両親はすっかり入れ替わってしまったのだ。

 その両親の間に産まれた実子が、叔父だ。そのために、母とは歳が離れていて、自分との年齢差がちょうど一緒だ。
 母は今年71歳、叔父は59歳、自分は47歳で3人とも干支が一致しており、鼠になる。
 長男として育った自分にとっての叔父は、叔父というよりは優しくて頼りがいもある兄貴といった感じが、今でもする。

 実際、父が亡くなった際にも叔父が行ってくれた数々の優しい心配りを忘れることはないだろう。
 そればかりか、父の遺産相続の話を母と弟と3人ですることになった時にも、税理士を連れてきてくれて客観的に落ち着いて話ができる場を作ってくれたことにも、感謝している。
 その場で弟が口にした言葉を聞いたとき、嬉しくて仕方がなかった。
 両親の要望で若い頃に自分が家を建てさせられたことに、違和感を覚えていてくれていたことを話してくれたからだ。

 そんな叔父が入院したことを先週の日曜日に母から聞いた。お見舞いに行きたいので運転手も兼ねて、付き合って欲しいと言われたのだ。
 いくら好きなことばかりを追い回している今の自分でも、仕事をしている訳でもないので、断る理由などなかった。
 それどころか、自分も叔父のことが気になっていた。

 昨日のお昼過ぎに自宅に向かい、そこで母が作ってくれた冷やし中華を二人で食べた。
 茹ですぎたかな、と母に尋ねられたがそれほどとは思わなかった。
 マヨネーズは、と次に母は畳みかけてきたが、要らない、と自分は答えた。典型的な名古屋人である母らしい言葉だった。
 自分も働き出すまでは、冷やし中華にはマヨネーズを使うことは当然のことだと考えていたからだ。

 冷やし中華を食べると自分の車で叔父が入院している病院へ向かった。母に自分の車を使ってもいいと言われたが、やはり自分の車が好きなので、やんわりと断った。
 母は免許を持っているが、遠方や知らない道を走ることを極端に嫌う。
 名古屋市境の川を渡って車を走らせ続けると、雨が降り出した。しばらくはワイパーも要らない程度だったが、あっという間に本降りの雨になり、ワイパーを使っても走りづらくなるほどの視界になった。

 叔父が入院している病院は名古屋市からは郊外にあたり、公共交通機関を利用して行くには面倒臭い場所にある。そのことを証明するかのように、病院の駐車場は広かった。
 先に母を病棟入り口の屋根があるエントランスで降ろすと、車を駐車場に向けた。駐車場に空きはあったが、病棟に近い部分には駐車する場所がなかった。

 通り雨だと思っていたので、雨が上がるのをぼんやりと待っていたが、すぐに雨が止む気配はなかった。
 雨が一瞬弱くなったのを見計らって、車から出てエントランスに急ぐと、母が携帯電話を手にしていた。
 面会時間は15時からなので雨が止むまで車に居てもいいと、伝えるつもりだったようだ。

 母はしっかりと面会時間を確認していると思っていたので、釈然としなかったが仕方がない。自分もその病院の面会時間を調べようと思えば調べられたのに、怠っていたからだ。
 諦めて時間を潰すために、エントランスの奥にある喫茶室で向き合って座り、コーヒーを飲んだ。
 母と二人だけでお茶をしたことはあっただろうか。考えても思い出せなかったが、環境のせいなのか、普段は照れもあって話せないようなこともいくらかは話せた気がする。

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このころには通り雨も上がっていました。
 二人の会話が穏やかで興味を引く会話だったのか、隣に座っていた婦人も会話に入ってきた。
 その婦人は口腔外科で親知らず抜歯のための手術を娘が受けていることを話してくれた。
 やはり自分の子供なので、他人から見ればたかが抜歯とはいえ、不安な気持ちになるのは、わかる気がした。出来損ないの親である自分にも。

 15時になったので、叔父が入院している病棟へ向かった。ナースステーションで教えてもらった病室を訪ねたが、叔父は居なかった。どこに行ったのだろう?(続く)

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今日の写真は実莉ちゃん。笑顔をハイキーに現像しても素敵です、ハイ。