新海誠監督の『天気の子』を今週の火曜日、劇場で鑑賞した。時間は13時5分からの回を見たのだが、ほぼ満席。夏休みだというのも理由かもしれないが、平日の午後でこの客の入りだと、週末はどんなことになっているのだろう?
新海誠が人気監督の一人であることを痛感させられた。
自分が座った席はスクリーンから見たら、左側の後方。通路を隔てて二席のうちのひとつだったが、隣に座ったのは初老の男性だった。
新海誠監督の作品を劇場で観たのは、『君の名は。』に続いて今作で二作目。DVDで『言の葉の庭』と『秒速5センチメートル』をそれぞれ3回観ているが、新海誠のファンとしては、浅い方だろう。
隣に座っていた初老の男性は初見ではなかったかもしれないし。
彼が監督した作品の中では『言の葉の庭』が一番好きだ。次に『秒速5センチメートル』が気に入っている。
彼が描こうとする、少年性を失わない主人公たちの恋愛観がどの作品でもぶれてはいないが、自分とたいして年令が違わない彼が、そのような主人公たちの心象をどうして表現できるかが不思議だし、羨ましい。
女性に比べれば男性はいつまでたっても子供と、世間ではよく言われてはいるが。
『君の名は。』に比べると序盤にスピード感を感じなかったが、『言の葉の庭』と『秒速5センチメートル』に比べるとそれほどでもない。新海誠監督作品の中では『君の名は。』が、特別な作品だったと『天気の子』を鑑賞しながら、考えていた。
作品の中盤で、主人公である帆高とヒロインである陽菜が花火大会を一緒に見ているシーンがあるが、見ていると思わずため息が出そうになった。
こんなシーンのような雰囲気を文章や写真で自分は表現することはきっと叶わないと思ったからだ。
恥ずかしながらそのシーンで既に自分の涙腺は崩壊していた。作品の後半で涙するならわかるが、このシーンから最後までずっと涙が零れっぱなしだった。
アラフィフのオッサンが一人でアニメーションを観て泣いている姿をまわりに見られていたら、どのように思われていただろう?
鑑賞後、劇場から地下鉄と私鉄を乗り継いで自宅最寄りの駅のホームに降りると、夕立が降っていた。しかも、土砂降りの雨。ホームから駅舎に歩くのも躊躇するほどの雨量だった。
自分以外にも傘を持っていない降客はホームで雨の成り行きを見守っている人が多かったが、雨脚が弱まる気配を感じなかったのか一人二人と駅舎へ小走りで消えていったし、自分も彼らに続いた。ホームの屋根が狭かったのでそのまま立ちすくんでいても、濡れてしまうからだ。 雨に濡れながら駅舎に着いた。駅舎でベンチに腰を下ろしてハンカチで身体や持っていたリュックを拭きながら、雨の様子を伺っていたが、弱まる様子はなかった。
通り雨らしく、雨雲の隙間から時折陽射しが届いていたのにも関わらず。
結局、雨が上がるのを待ちきれずに濡れながら帰宅したが、そのことで自分の中での作品の鑑賞感が高まったのかもしれない。
タイミングが合えば、また劇場で観てみたいと考えている。