Twitterで自分がフォローしている作家は3人。共通していることが少なくとも三つある。ひとつは男性、もうひとつは、子供と生活していること。最後は自分が小説を書かない間に彼らの著作を読むようになって、感心をもったことだ。
その三人を順に列挙すると石田衣良、辻仁成、そして平野啓一郎だ。著作を読んだのも、Twitterのアカウントをフォローするようになったのもこの順番だ。
自分が彼らの作品を読みだして、まだ10年ちょっとしか経っていない。
その中でもこのごろ一番気になっているのは、辻仁成。tweetだけでなく、彼が毎日のように更新しているblogも時々読んでいる。
そのblogのタイトルは『JINSEI STORIES』。今日のこのblogの記事のタイトルも、そこから引用させてもらった。
そのblogの中でもここ数日の内容が非常に面白い。
15歳の息子と一緒にフランスのパリで過ごしているのだが、その息子にパリから遠く離れた街、ナントに恋人ができる。
息子からその恋人に会いに行きたいから、アッシー君を頼まれて数日間、息子の彼女が住む街、ナントに滞在するエピソードだ。
www.designstoriesinc.com
自分が彼のblogを読んでいて、気づいて少し寂しかったことがある。それは自分の視点が彼の息子ではなくて、親である辻仁成に近かったからだ。
図々しいと思われるかもしれないが自分にはもう、10代だった少年のころの恋心だけでなく、感性もほとんど失っているのだろう。
娘が似たようなシチュエーションを自分に招いたらなんて、と少し妄想してしまった。
今、自分の娘は10歳。辻仁成の息子とその彼女はそれぞれ15歳なので、5年経てばその可能性自体は0%では無くなることが頭ではわかっているが、リアリティーがわかない。
それは、自分が娘と日々一緒にいないせいなのかもしれないが、彼女が思春期に近づいていることに対して上手く実感を抱けないでいる。別居して娘と一緒に過ごしている妻は、どうなのだろうか。
辻仁成の名を初めて知ったころ、彼に対して全く良いイメージを抱けなかった。自分のコンプレックスのせいだと思うが、芥川賞作家自体に嫌悪感を抱いていたし、芥川賞の受賞作を読むことさえ忌避していた。
学生時代に国語や現代文の授業で習った賞の名前は、いつしか自分から縁遠いものになっていた。
だが、そんな自分が芥川賞作家の文章を読むだけでなく、自分が筆を取って小説を書き、自分の名前と作品名が文芸誌に何度も名前が載るようになるなんて、そのころの自分には想像すらできなかっただろう。
ましてや、芥川賞作家に同じ親としてのシンパシーを抱くなんて、自分でも意外な気はする。
自分が彼にそんな感情を抱いているのを知ったら、彼の女性ファンの中には気分を害する人がいるかもしれない。
彼の息子の母親である中山美穂は、辻仁成の作品のファンだったことがきっかけで2人の交際が始まったらしいが、今でも彼の作品のファンなのかが、ふと気になった。