週末の深夜、名古屋から東三河郊外に向かう道を一台の小型車が走った。車に同乗しているのはアラフィフ男性の二人。
土曜日の夜にむさい男同士でドライブしていたのは、マスヲとその友人だ。目的地は旭高原。ドライブは手段であって、本来の目的は初冬のキレイな星空を写真に収めることだ。
友人と自分の二人はそれぞれのカメラ、レンズと三脚を携えていた。ただ、車に載せただけなので、先のように書くと少々大袈裟かもしれない。
自分が持って行ったカメラは新しく買ったばかりの『OM-D E-M5 Mark III』。レンズはそのカメラと同時に買った、『M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO』。
このレンズは魚眼レンズなので、自分が一番の被写体としている人を撮るのに相応しいものではない。
しかも、このレンズは自分が買い揃えたレンズの中では一番高価だ。
女性モデルを撮るためではない高価なレンズで何をファインダーに収めようと思ったのか、その答えはズバリ星である。星空写真を撮りたくて定価が10万円をゆうに超すようなレンズを買ったのだ。
以下に、そのレンズの詳細を紹介しておく。
www.olympus-imaging.jp
そんな高価なレンズを買ったのだから早速利用して、誰もが見とれるような星空写真を撮りに行こうと考えたのだ。
星空を上手く写真に撮れればそれだけで、女性にモテそうな気がしていたが、完全に妄想だろう。
片道、2時間弱ほどかけて現地に着くと懸念していたよりは雲が少なかった。
それでも、やはり高原と呼称されていた場所だったので、車から降りると考えていたよりも寒かった。暦上、冬になっていることをはっきりと実感させられた。
そのせいで思わず、三脚の設営やカメラの設定などの撮影準備を車内で行う生皮ぶりを自分は発揮していた。
準備をなんとか済まして撮影を始めたが、まったく思ったような写真が撮れない。高価なレンズを利用しているのにもかかわらず。撮影技術が伴っていないので、完全に宝の持ち腐れだ。
撮り重ねていく写真までもが寒々しいせいのでお手洗いに行ってリフレッシュしようとして、歩き出した。 近くで撮影している男女二人組のカメラマンの前を遠慮がちに前屈みで通り過ぎようとすると、彼らに声をかけられた。気遣いは入らないと。
ファインダーの中を覗くように言われたので、覗かせてもらったら何も映っていなかった。星空を撮るのに苦労していたのは、自分だけではなかったのだ。
結局、小一時間ほど高原に滞在したが成果は恥ずかしいものだった。次回こそ、次回が無理であれば何時の日か、綺麗に星空を撮ってみたいと強く思った夜だった。