今日の未明、お酒を呑んだメンバーと一緒にタクシーに相乗りして帰ってきた。
この文章を書いている今も少し眠いし、身体のあちこちに疲れが残っているが、気分は悪くない。
右手の手首の返しが気になって、キーボードが打ちにくくても。
昨朝は6時前に起きた。
自分がそんなに早く起きるのは、釣りかスキーに行く場合がほとんど。
だが、昨日の理由は仕事のためだった。
起きて朝食を簡単に済ませると、車で出かけた。副業先である灯油の移動販売の営業所まで。
まだ、薄暗い6時代の道中は意外に車が走っていた。土曜日の早朝だというのに。師走も終わりに近づいているので、何かに追われている人が多いのかもしれない。
7時前に到着すると、灯りが点いている事務所に入ったが誰もいない。事務所の鍵は誰が開けたのだろう?
しばらくすると若い従業員が一人、出勤してきたので挨拶をしてあることを聞いた。勝手に出庫していいのかを。若い彼は、ただうなずいたので自分も彼に続いてローリー車に乗り換えて出庫した。
自分が最初に灯油を販売するエリアまで、かかる時間は1時間ほど。それまでの間に木曽川と長良川を渡る。
朝陽を浴びている両河川を見ていると、それだけで新鮮な気持ちになれた。
案の定というか、最初のエリアの販売開始地点を間違えたので、スタート時間は遅れてしまった。
また、そのエリアを車で移動しているときに、給油ノズルが外れて引きずってしまうというハプニングもあった。
大きな傷がいくつもついたノズルを見て落ち込んだが、給油できるかを試したら大きな問題は無さそうだったので、そのまま販売を続けることにした。
自分が担当しているのは全部で5エリア。最初に回るエリアが一番広いのだが、それだけでなく販売量も一番多い。昨日も自分の売上げの6割近くが、そのエリアだった。
午前中に回っていることも影響しているのかもしれない。移動販売の先輩から、朝が一番売れる時間帯だと聞いていたから。
目標としては11時過ぎくらいにはそのエリアでの販売を終えるつもりだったが、結果は13時過ぎまでかかってしまった。
給油ノズルを痛めてからは、慌てずに仕事をすることを心掛けたこともあるが、それ以上にそのエリアのお客さんたちが先週以上に買ってくれたことが大きいだろう。
特に10時ごろまでは飛ぶように売れた。
時間が押してしまったのでゆっくりと昼食を食べることができなかった。次のエリアまで移動する最中に、ハンドルを握りながら菓子パンをかじっただけだ。
それでも、惨めだとかもっとちゃんとした食事を取りたいという欲求は起きなかった。
売り上げたお客さんが一人のエリアもあったが、その時だけは少しだけ寂しい気持ちになった。
先週は下見だけで実際は販売することができなかったエリアでも、販売できたのは嬉しかった。
幾人かのお客さんから必要とされているのが実感できたからだ。わざわざ自分を追いかけてきてくれた主婦もいたほどだ。
給油している最中に、あるお客さんが今年は来てくれないかと思ったと、話してくれたので自分は次のように答えた。
今週からは毎週来るから、と。その言葉を口にした自分はいい表情をしていたのではないだろうか。
昨日は仕事をしている途中から、あることを実感した。
ローリー車の運転に慣れてきたこと、住宅地図の見方が上手くなっていることを。
そのどちらも、自分がかつて宅配ドライバーとして働いて得た経験から来ていることも。
当時は20代後半。その仕事をするのが嫌で仕方なかった。ただ、今思うとその仕事で得たものが、今の自分と自分を必要としている人を助けているのだから、不思議なものだ。
最後のエリアの販売開始地点に到着したのは17時前。途中のエリアで、すっかり時間のペースを取り戻していた。
先週、このエリアのスタート地点に辿り着いたのはどっぶりと日が暮れた後だったが、昨日はまだ薄明るかった。
そのエリアだけは先週よりは売れなかったが、仕方がない。夕方は遅い方が、外出している人が戻ってくる可能性も高いかもしれない。
全体的な売上金額は先週よりはかなり上がった。給料は歩合の分もあるので、自分の収入が多くなるのはもちろん嬉しい。
ただ、それだけでなく二人のお客から言われたことが印象に残っている。免許を返納してしまったから待っている、と。
街中ではなく、利便性の高いところに住んでいない高齢者は、どんな気持ちで免許を返納しているのだろう? 今この文章を書いていると改めて考えてしまった。
先週は仕事を終わって営業所を出ると21時を過ぎていたが、それに比べると昨日は早かった。19時30分過ぎには営業所を後にしていたから。
実は昨夜は昔のアルバイト仲間の忘年会。先週の仕事が終わった時間を考慮して、幹事に欠席の連絡をしていた。
開宴は19時からだったが、遅れて参加できそうなので参加させてもらった。
お店に着いたのは20時30分過ぎ。シャワーも浴びていなかったので、まわりには灯油の臭いを漂わせていただろう、きっと。
最初の一口目のビールが堪えられなかった。冷めていたつまみに箸を延ばしたが、何を食べても美味しく感じた。
料理とお酒を引き立てているのは、久しぶりに会った友人たちのおかげもあったと思うが、それ以上に自分の心持ちが一番に影響しているように思った。
二次会に河岸を代えても、同じように酒も肴も美味しく感じた。
そればかりか、帰宅する際のタクシーに乗車中まで、気分がよかった。
そんな気分にさせてくれたのは昨日、自分に巡り会った全ての人のおかげ。
久しぶりに再会した友人も含めて、感謝したい。