淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

私のこと好きだったんでしょう?

 FMのラジオ番組を聴いていたらなんと岩井俊二監督が出演し、パーソナリティーと対談していた。
 彼が監督した最新作、『ラストレター』の売り込みが狙いだったのだろう。
 その番組の中で、岩井俊二監督がリスナーからのある質問に対して、次のような言葉を口にしたことが印象に残った。若いころは雑で乱暴に生きていたと。

 彼だけでなく、それは若者全員の特権なのではないだろうか。
 彼の言葉から、中学時代のある記憶を思い出した。当時、自分が好きだった女性にまつわるエピソードを。

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今日、撮影してきた長良川。人生は川の流れのように
 中学校に入学すると、ある女生徒を好きになっていることに気がついた。
 同じ小学校に通っていたが、高学年になってから別のクラスに彼女は転校してきた。
 中学校では一学年と三学年で同じクラスになった。

 一年生のころに、彼女の自宅に行ったことを覚えている。
 残念ながら、仲良くなって彼女本人から招かれたわけではなかったが。
 一年生の時の家庭訪問が理由だった。
 自分が小中学校のころは進級してすぐに、担任教師による家庭訪問が行われていた。
 自分の住んでいた近辺、小学校と中学校の学区はとにかく一方通行が多いことも理由だったのかもしれないが、教師が生徒に道案内を頼むことが習慣になっていた。
 自分も教師にその役を担わされて、彼女の家に立ち寄ることになった。

 彼女に特別な感情を抱いたまま、三年生になった。
 告白する勇気もなかったし、彼女と特別な関係になろうなんて考えてすらいなかった。
 ただ、まわりの友人たちとお互いに好きな人を打ち明けあったりして、照れていただけだった。
 アラフィフのオッサンにも、そんな可愛らしいころがあったのだ。

 彼女は自分の思いを知らないはずだったのだが、二学期のある日。その帰り道に事は起こった。幼馴染みと二人で帰ろうとして、校舎を出て校門へ歩いていた時に。
 呼び止められたので振り返ると、自分が好きだった彼女が友人と一緒に立っていた。
 彼女は次のように言い放った。私のこと好きなんでしょう、と。
 彼女の言葉を聞いただけで、混乱していたように思う。彼女に何も言わずに、そのまま足を速めて校門を出て真っ直ぐに帰宅した。
 彼女に何か言うことはもちろん、振り返ることもせずに。

 今、思うと彼女の取った行動は丁寧だったとは言えないが、自分の対応も相当に酷い。決して、ほめられるものではないだろうが、それが若さってもんだろう。

 このエピソードに続きはない。彼女とは別の高校に進学したが、通学方向は似ていたので通学の電車やホームで時折、会うことはあったのだが。

 彼女はあのとき、続きの言葉を持っていたのだろうか。この文章を書いていて、ふと気になった。

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今日の写真のモデルは加藤凪海さん。フォトサークルNGPにて撮影。