岩井俊二監督には昔から、興味を引かれていた。
彼の作品を全て観ている訳ではないが、好きであることは公言してきた。
代表作、『Love Letter』は何回も観たし、小説も確か自分の本棚に並んでいるはずだ。
30歳の時に書いた小説には、彼の文章を引用したことがある。『トラッシュバスケット・シアター』の一節を。
公開日に観に行く計画を建てていたほど、『ラストレター』を待ちわびていた。
自分にはまだ有休休暇もないし、今の就業場所から近くに映画館がなかったこともあって、金曜日の鑑賞は諦めた。
次は土曜日の仕事後を狙ったが、幼馴染みに呑みに誘われたので、結局は昨日の日曜日の鑑賞になってしまった。
洗濯物を干すのも後回しにして、朝一番の上映を観てきた。
last-letter-movie.jp
見終わって、穏やかな気持ちになった。
また、かつて松たか子のファンだったことを思い出した。
この作品の主演は彼女だが、存在感と演技においても役割は充分に果たしただろう。
しばらくは、彼女の存在感が自分の中に残ったままになるのではないか。
昨年に唯一、劇場で観た作品、『マチネの終わりに』で主演を務めていた福山雅治もこの作品でも重要の役どころだった。
彼が演じた乙坂鏡史郎は重要な役。福山雅治であればもう少し違った色を出せたのではないかと、気になってしまった。
極論を言うと、別の俳優がキャスティングされてもよかったようにも思った。『マチネの終わりに』とは違って。
この作品の核になる部分、主人公たちの回想シーンを担った出演者たちは素晴らしかった。
どちらかというとアンチな視点になってしまう、広瀬すずであっても。
答辞のシーン、凜とした感じを含めて表現できるのは、同世代の女優では彼女しかいないだろう、きっと。
神木隆之介もよかったが、今作で自分が一番の気になったのは森七菜。
広瀬すずに対しても、全く負けていなかった。
福山雅治演じる乙坂鏡史郎が母校でバッタリと二人に出会うシーンでも。
広瀬すずとのツーショットは眩しかったし、彼女たち二人をファインダーに収めたいという、叶いもしない願望を抱いてしまった。
『Love Letter』、『花とアリス』でも思ったが、岩井俊二ほど少女を美しく撮る監督は居ないのではないか。
岩井俊二監督の作品では『Love Letter』が一番のお気に入りだったが、自分の中で今作はそれ以上の作品になった。
その理由は彼が歳を重ねたことが、理由のひとつではないだろうか。
モノを作ることにおいて重要なこと、自分に対して正直になることは、若い時には難しいから。