淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

歴女はいたが… 【『正倉院展』見学の感想】

 宿望というほどではないが、奈良国立博物館で毎年この時期に催される正倉院展を見学したいという気持ちを長い間抱いていた。
 実は数年前の週末に会場まで足を運んだことがあったが、入場までの時間が数時間かかると言われて見学を断念したことがあったから尚更だ。

 以前の反省から見学するなら平日に行かなければと思っていた。有給や代休が取得できるチャンスがあったとしても、正倉院展の開催期間は毎年2週間ほどしかないので、なかなかタイミングが合わなかった。
 先月と先々月に休日出勤した時からその分の代休を正倉院展の時期に取ることを企んでいたが、何とかうまくいった。

 9時ごろに車で家を出た。あいにく雨天だったが、その分現地では空いているだろうと楽天的に考えながら高速道路を運転した。高速を降りて国道から県道に入ると車は少なかった。

 奈良公園に近づくと一転して車も人も多くなってきた。広くない歩道に傘がたくさん開いている。
国立博物館近くの駐車場に駐車できると考えていたが、甘い期待はあっさり裏切られた。あちこち回って春日大社の駐車場に車を停めた。
 国立博物館までは歩ける距離だったが雨も降っていたため、周遊バスで移動した。価格は100円。その価格であれば近くの駐車場を利用できなくても納得できる。

 博物館前のバス停で降りると博物館は目の前だった。

f:id:mobemobe617:20171108202348j:plain
会場の遠景です
 他の見学客と一緒に進んで行くと現在の待ち時間の掲示がしてあった。30分と。
f:id:mobemobe617:20171108202139j:plain
入場までの待合場所の上部に掲示してある
 昨日の午後、何度かインターネットでリアルタイムの待ち時間を調査したらだいたい15分ほどだったので、昨日よりは少し長いが、それくらいであれば十分に待てる時間だ。最悪のケースも考えて文庫本を携帯していたが、並んでいる列も淀みなく進んでいくために必要なかった。周りを見ると男性より、女性の方が多かったが自分より年下はかなり少なかった。

 運転で疲れていたせいか、館内は人が多いのに広く感じた。奈良国立博物館を見学したのは2度目で、はじめての時は特別展の内容が面白いのと初の国立博物館の入場のためか場内も広く感じなかったし、見学していた時間もあっという間に感じた。

 今回は場内に人が多いせいもあってか疲れを感じて、館内に用意してあった椅子で何度か休憩しながら館内を進んだ。車椅子や杖を突いて歩いている見学客を何人か見かけたが、あんなに混雑した状況では展示物を近くで見ることは難しかっただろう。
 そのような人たちのために特別な見学時間を指定することは出来ないものだろうかといつの間にか考えていた。
 自分みたいにインスピレーションも芸術的な感性も無い人間が見るよりも、彼らが見た方がひょっとしたら何か社会にフィードバックできるかもしれないのではないかと思ったからだ。

 数年前まではあまり感じなかったが、最近は美術館などでも館内の明るさが気になって仕方がない。加齢とともに普段の生活でも以前より鳥目になっていることを感じているからだ。
 展示物への影響のために照明を落としている意図はわかるのだが、技術も進歩しているのだから展示物にも優しく、また見学者がもっと見やすいような展示方法を考えて欲しい。

 1時間強ほど見学して表に出た。展示品全てに興味を持てた訳ではないが、館内では貯蔵品よりも目を奪われた女性はほとんどいなかったのが残念だった。
バス停に向かって歩いていると奈良公園名物の鹿が何匹も目に入った。小学校の修学旅行で初めて訪れた時に彼らに鹿煎餅をあげたのが懐かしい。ただ、その時期とは違ってオスの角は切り落とされている。

f:id:mobemobe617:20171108223746j:plain
おとなしく座っている鹿が撮りやすかったのでワンショット
 バス停でバスを待っていると外国人にここはバス停かと尋ねられた。そう、だと答えると奈良駅に行くバスが停車するのかと続けて聞いてきたので、その質問にも答えた。
 相手はアジア系の若い女性だった。彼女たちも正倉院展を見学していたのだろうか。館内の展示物の説明には日本語だけでなく、複数の外国語でも書かれていた。
 彼女たちがユーラシア大陸に在住していたのなら、展示物をどのような興味、観点で見学したのだろうか。
f:id:mobemobe617:20171108224034j:plain
小型のバスだが外観は洒落ていませんか?
 やがて乗車するバスが見えてきた。最後尾の椅子に腰掛けると隣には初老の女性が座っていた。こちらが座るときに軽く会釈をすると関西人のノリで自分に話し掛けてきた。
 彼女の話によると昨年くらいから、奈良の街に外国人が増えてきて不快に感じているらしい。彼らのマナーが悪く特にバスの車内やトイレなど、彼女からは考えられない場所を彼らがゴミで汚すことが我慢できないようだ。

 実は正倉院展を見て思い出した場所がある。数年前に訪れた台北故宮博物院だ。正倉院と同じように所蔵品が多数あるために全てをいつも展示している訳ではない。
そのために違う展示物を見るためには何度か訪れるしかないからだ。
 自分たち日本人が台北を訪れた時に、現地の人たちにバスで話した夫人のようなことを思われていないかが、少し気になった。

 帰路は高速を使わなかったので余計に疲れたせいか、来年も見学したいかと聞かれたら、「是非に」とは今は言えない。だが、正倉院展を見学して良かったかと聞かれたら「はい」と即答できる。