淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

似ても似つかぬ女性なのに

 今朝、通勤時に地下鉄で座っていると目の前に立っている女性が気になった。降車駅で席を立つとがっかりした。昨日、正倉院展で出会った歴女の中で気になったひとりの女性かもしれないと一瞬期待してしまったからだ。

 自分が気になった女性は黒い薄手のニットにチェックのタイトスカートを履いていた。黒い髪を後ろで束ねていたが雨の日なのに、艶がありまったく乱れていない。
 耳には金の小さなピアスをしていたが、嫌味にならずにとても似合っていた。30歳は過ぎているように見えたが何歳なのだろうか。

 昨日出会った彼女と比べると、自分が見間違えた女性は見れば見るほど別人だった。ニットは良く見ると生地が上品では無さそうだし、髪もロングヘアというよりもただ無造作に伸ばしているだけだ。
 年齢も自分よりも上に見えたし、特別な努力をしていないせいか歳相応な体型をしていた。
 何故、そんなに似ていない人と見間違えたのかをしばらく考えていたが、理由は自分が思っている以上に印象深かったためだろう。

 入館してすぐに彼女を見かけたときは魅力的な女性ではあるがそれほど気にならなかった。だが、館内の展示物を見て回るたびに彼女が自然に自分の視界に入ることが多かった。
 正倉院展には60ほどの展示物があったが、正直すべてに興味があった訳ではない。見学者の多くもそうだろう。自分が興味をもった展示物には必ず先に彼女が居たのだ。しかも、これ以上ないほどのベストポジションで。そのせいか当然彼女が自分の目に映ることが多かった。

 途中から余りにも時間をかけて見たいものが重なるので、彼女のことを追っかけているように誤解されていないかが気になりだした。おかげでたまに彼女の横にスペースが一瞬出来てもそのスペースを取るか迷っていると他人にいつもすぐに侵入されてしまった。
 自意識過剰なのかもしれないが、それくらい彼女は展示物を最高に見やすい場所で見ていたのだ。しかも、誰かを押しのけたりすることもなく人の波に乗りながら。

 残りの1/3くらいからは自分が椅子に腰掛けて休憩しながら見学することが多くなったので、自然に彼女を見かけなくなった。
 彼女とはひょっとしたら趣味が合う部分があるのかもしれないと妄想してみる。
 だが、例え好き同士の2人でもお互い本当に好きなものを一緒に見る場合は、相手よりもそちらを優先してしまうこともあるだろう。
 そう考えると趣味が合いそうな女性と巡りあったとしても博物館や美術館は同行しない方がいいかもしれない。