淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

スパイダーマンの送別会

 今日の昼休みにまたあの男が話題を提供してくれた。右隣に座る串勝男だ。彼の襟元に蜘蛛がいるのを他のエンジニアに教えられていた。すると、彼が蜘蛛を手で追い払おうとしたら、逆に首筋からシャツの中に侵入してしまった。
「俺、スパイダーは嫌いなんだよね」と言いながら飛んだり跳ねたりしていた。勝男はスパイダーマンになった。
 自分はランチに出かけるためにその後どうなったかを見届けられなかったのが残念だった。少なくとも彼は自分よりも蜘蛛に好かれるらしい。

 今の現場に中途採用の社員が入社したので、歓迎会が行われることになった。メールで出席確認を求められたのだが、即答で断った。
 主賓である新入社員の顔と名前が一致しないこと。会の候補日が今月の22日か24日で両日とも休み前のこと。プロパー社員の歓迎会だけ行われるとあっては筋が通らないからだ。

 今月末でスパイダーマンこと、勝男はこのプロジェクトを離任する。他にも何人かの外注も。であれば、彼らの送迎会も兼ねて行うことくらいの気遣いはないのだろうか。蜘蛛は嫌いだがお酒は好きな彼のために。

 さすがにそのこともあってか、寂しくなったのかスパイダーマンは突如周りの数人を今日飲みに行かないかと誘いだした。すると、蜘蛛を発見してくれた男性が真っ先に金曜日だからと断った。明日は早起きして釣りに行きたいからと。
 勝男は少しがっかりした様子だったが自分に言い聞かせるように呟いた。「俺も釣りに行こうかな」と。それだけで言葉が終わらないのが彼らしいところだ。「最近、何が楽しいか何のために生きているのかがわからない」と続けたのだ。

 ちなみに歓迎会だけでなく、忘年会の案内もメールで来ていた。忘年会の開催日は12月15日の一択だった。忘年会の開催日も金曜日。飲み会の開催日を休み前にすることに誰も異議を唱えないところをみると、どうやらここの会社のメンバーは週末にしたいことはないらしい。業種を鑑みても、翌日が出勤でも車を運転するなどの理由がないのでお酒を飲んでも問題ないはずなのに。

 忘年会の出欠はまだ返信していないが、おそらく欠席することになるだろう。参加費もどうやら徴収されるらしいので、彼らのために時間とお金を用意できるほど余裕がある日々を過ごしている訳ではない。
 だが、スパイダーマンになった串勝男の送別会が催されたら自分はどうするだろう。休み前でなければ出席するかもしれない。例え、彼の奢りでなくても。一応、同じ戦場で戦った同士だから?