淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

そこにソースが残っていた

 昨日は串勝男の最後のお勤めだった。おはようございます、とこちらから挨拶をすると彼は次のように言い放った。おはよう、と。こちらがきょとんとしているとまた同じように繰り返した。ニンマリしながら彼は続けた、たまには上から言ってみた、と。最後の朝まで傾奇なんていかにも勝男らしい。
 昨日、自分が定時で帰る時にはまだ彼は作業をしていたので、見送ることはできなかった。

 歯科医に通院してから今日は出勤すると、昼下がりのオフィスは昨日までと変わっていた。外注のエンジニアが1/3くらい退去していたからだ。誰も座っていない机が目立つ。もちろん、自分の右隣りの席もパソコンとモニター以外には何も残っていない。机の片隅に置かれていたソースも消えていた。

 トイレに行くときに若いプロパー社員とすれ違ったときに何気ない会話になった。
 今月末までだからよろしく、と話しかけた。昨日までかと思っていました、と返してくれた。さらに彼は続けた。声の大きな勝男さんが居なくなったから寂しいですね、と。
 確かに彼は態度も声も大きかった。彼の声がしないだけで随分オフィスは静かになったことに気がついたのは自分だけではないようだ。

 15時過ぎに作業が一息ついたので、コーヒーが飲みたくなった。ドリップするためにカップを持って共有スペースにある給湯器に向かった。
 給湯器の手前には皆が軽食などを取る時に使用する机が置いてあるのだが、そこに見慣れたものが置いてあったものを見つけた。ソースが置いてある。いつも自分の右隣の机の上に置いてあったものだ。
 串勝男が夕方になると串カツを食べるときにかけているのが目に浮かぶようだ。

 ソースの横には小瓶の醤油まで置いてある。これも勝男の寄贈品なのだろうか。自分が知らないところで彼は、串カツだけでなく醤油が必要な何かを間食していたのだろうか。醤油が必要な食品で彼に似合うのはどんなものだろう?
 自分はなんとなく刺身が浮かんだ。ワイルドな彼が箸を使って少々生臭い刺身を食べている姿を想像してみた。

 昨日、彼との会話で年齢だけでなく血液型まで一緒だということがわかった。自分も驚いたが彼も驚いていたようだ。ちなみに2人ともA型だ。
 2人とも同じ傭兵稼業、血液型や女性に弱いところまで一致している。
 今日から新しい戦場に転戦している勝男。自分が傭兵稼業を続けているかぎり、ワイルドな彼と再会する日が訪れるかもしれない。