淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

おもひでぽろぽろ

 スタジオジブリ高畑勲さんが亡くなった。享年82歳。
 驚いたのは彼の学歴だ。東大の仏文科卒。今日まで知らなかったから。
 今ではあまり気になることが少なくなっているが、自分が高卒のために学歴に対するコンプレックスを長い間持っていた。
 そのために、学歴コンプレックスが消えるまでは著名人から身近な人物まで、相手の学歴が気になって仕方がなかったのに、だ。

 彼が監督した作品の中で自分が大きな影響を受けているものがある。それは『おもひでぽろぽろ』だ。
 高校時代の友人に勧められて鑑賞したら、最初に見たときに泣けてきた。クライマックスで都はるみの歌がかかるところで。今でも見る度に、その辺りで気持ちが震えてくる。

 この作品はもちろん今でもお気に入り。テレビで繰り返し放送される度に思わず見てしまう。
 主人公の声優を担当しているのは今井美樹。自分は昔から彼女のことが嫌いなのに、それでもこの作品の価値は下がらない。むしろ、彼女の声がフィットしている気がするのが不思議だ。

 20代で小説を書いていたころ、自分の中で書きたいひとつのテーマがあった。それは旅。もっというと、旅を書くことで人が日常では気が付かない、自分の何かを表現するものを書きたいと思っていた。
おもひでぽろぽろ』はそれが上手く描かれていると、見る度に強く思うようになった。
 糸井重里によるこの作品のキャッチコピーも、そのあたりを上手く表現していると思う。そのキャッチコピーは「私はワタシと旅に出る」だ。

 主人公が分数の割り算をすんなりできないシーンも印象的だ。小学校のころくらいまでは算数が嫌いではなかった。
 分数や少数の計算も不得意ではなかったし、割り算もすぐに出来るようになった。
 だが、何故分数の割り算は分母と分子を逆にして掛け算をすると答えになるのかが、自分の中でも長い間引っかかっていた。
 その答えを、中学高校と進学して数学を学ぶことで自分なりに答えを出すことができたのだが、そのときにもこの作品を思いだした。

 自分の中でまた1人、影響を受けた人物が亡くなってしまった。残念なことだが誰もが時の流れに逆らえないし、自分も彼の名作を見てから、四半世紀以上の月日が過ぎている。
 ちなみに、彼がこの作品を監督として完成させた年齢は57歳。巨匠と自分を比べるのは畏れ多いが、自分の今の年齢からでも10年以上の時間がある。