淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

ダイエットできなかったけれど

 平成30年7月豪雨の災害ボランティアに火曜日から参加して、今日で4日目。
 昨日の作業が3日間の中で一番きつく、帰宅時に初めて高速を使用したほどだ。それでも、自宅近くでの数㎞なので、走行料金は520円。

 初日に参加した時は、何かお手伝いできることがあればというくらいの気持ちで参加したが、気がついたら3日間通っていた。
 関市上之保地区に開設されたボランティアセンターも今日で閉鎖されることを、昨日知った。最後まで参加しないとスッキリしないような気持ちに、いつの間にかなっていた。
 慣れないことを続けたせいか、疲れもたまり熟睡できずに起床しても身体も重く、右手の親指と人差し指も軽く痺れていた。

 迷ったが、今日もやはり関市に向かって車を走らせた。だが、自分の中では今日は無理をしないことを決めていた。
 作業中や往復時に事故を起こしたくなかったからだ。身体への負担と安全を考え、往時も部分的に高速を走ったほどだ。
 家を出た時間はいつもと同じ7時30分だったが、高速で部分的な混雑を避けることができたお陰で、現地にはほぼ9時に到着した。520円の費用対効果は充分にあった。

 受付を済ますと、昨日一緒のチームで作業したシニアの男性に声をかけられた。今日も一緒のチームで作業をしようと。シニアにも関わらず、連日参加している彼に声をかけられて、全く悪い気はしなかった。
 今日はあっという間にチーム編成が決まった。男性3人女性3人だったが、今日は自分がリーダーになってしまった。てっきり、自分に声をかけてくれた彼が担当するものだと思っていたので、少し戸惑いながらも引き受けた。

 今日の作業内容はある浸水した民家の家財道具の拭き掃除と、土壁を浸水した高さまで剥がすこと、そして泥かきだった。
 男性3人が土壁を剥がして、拭き掃除などを主に女性が担当してくれた。
 依頼されていた作業以外にもエアコンが設置されていた金具の撤去と、浸水していたベニアの壁剥がしも行った。
 誰も体調を崩すこともなく、時間内に作業を終えてセンターに戻った。
 借り受けた道具を確認しながら返却し、作業内容を報告書によって報告した。
 災害ボランティアでの初のリーダーも、なんとか無事に務めることが出来て、ほっとしていた。後はかき氷を楽しんで、温泉に入って帰宅するつもりでいた。

 今日でボランティアセンターが閉じられることもあって、作業の依頼が多かったようだ。表現は悪いが期限ギリギリになると、いろいろと思いつくのは人の性。
 参加者と釣り合っていないこともあって、今日は午後も作業者を募集していることを説明されたが、自分はやんわりと断った。今日は無理をしないと、家を出るときに決めていたからだ。

 『ほほえみの湯』に立ち寄って、帰宅するつもりまんまんだった。かき氷を片手に車に戻ろうとするときだった。聞き慣れた声が自分に呼びかけた。今日午前中一緒に作業した2人が午後からも別の作業に参加するので、一緒に作業しようと誘われたのだ。
 シニアの男性は年齢のハンディだけでなく、自分よりも遠方の三重県桑名市から来ていることを知っていた。しかも、連日車中泊をしながら上之保地区に滞在していることも。
 そんな彼を含めた午前中一緒に作業した2人に誘われると断ることができなかった。どうやら、自分は男からの誘いにも弱いようだ。意外とお人好しのようだ。

 作業内容は水害被害を受けた水田の泥だし。30人の要員が必要なのに、まだ20人ほどしか集まっていない状況だった。
 シニアの男性が昼食を食べてからの参加を交渉してくれたので、センター目の前にある喫茶店で食べることにした。

 喫茶店でメニューを聞くと食べられるものはトーストかサンドイッチしかなかった。疲れて口が不味くなっていたこともあり、冷たくて少しでも口当たりの良いものを食べたかったのが本音だ。
 だが、被災地でそんな注文が難しいことに気がついた。仕方がないので、飲み物をレモンスカッシュにした。相方は飲み物として、ホットコーヒーを注文していた。
 炎天下の中では、利尿作用が高いカフェインが多く含まれているものを避けた方が身体へ負担が少ないのに、彼のタフさには驚いた。

 丁寧に作ってくれたせいか、サンドイッチが提供されるまでに結構時間がかかった。だが、その間寒いくらいに冷房が効いた店内で身体を休めることが出来た。
 ウエイトレスがサンドイッチとレモンスカッシュを自分の前に並べてくれた。
 サンドイッチを一切れ口にすると、美味しかった。温かな厚焼き卵が挟んであるエッグサンドを思い出せないくらい、久しぶりに食べた気がした。
 最近、サンドイッチというとどうしてもコンビニで販売されているものを連想してしまう。

 食後に会計をお願いすると、耳を疑った。600円と言われたからだ。サンドイッチのボリュームを考えるとあきらかに安すぎた。
 お店がボランティアのことを話題に会話をしていた自分たちに、サービスしてくれたのだろう。好意をそのまま素直に受けた。有り難く感謝しながら。

 食後にセンターに向かうと活動地区の説明をされたが、内容がかなり大雑把だった。相手からしたらこちらの顔を見なれていることもあって、土地勘が充分に備わっただろうということだったのだろうか。
 そんな説明のせいもあって、作業場所に辿り着くのには苦労した。途中で自分たちが迷っていると、偶然に一昨日自分と一緒に作業した男性ボランティアと再会した。彼も作業場所がわからずに迷っているようだった。

 作業場所から案内者が迎えに来てくれたこともあり、なんとか現地に到着した。時間は14時近くになっていた。作業終了時間が15時までと決まっていたのにも関わらず。
 お陰で最後の作業場所では、たいしたお手伝いはできなかった。自分では形だけの参加になったと思っているほどだ。
 終了時間間際に水田へ意図する水の流れが確保された時は、参加者からちょっとした歓声が上がっていたし、皆の表情が明るかったような気がした。

 自分は最後のご奉公として、その作業の際に出てきたゴミ捨てに参加した。軽トラの荷台に数人と箱乗りして近くの廃棄場に向かった。
 廃棄場に着くと、風が吹くたびにゴミ特有のすえた臭いが漂った。そんな中、簡単な分別をしながらゴミを仕分けて、トラックの荷台から下ろした。

 帰りも箱乗りをして、作業場所まで戻っていく。日差しは強かったが、開放感もあったせいか切っていく風が気持ちよかった。
 その作業場所で、参加者全員で写真を撮ることになった。この作業場所では自分はたいした作業はしていない。それでも、気恥ずかしいとは思わなかった。どうしても思えなかった。
 まだその写真を見ていない。自分がどんな表情で写っているのかが、少し楽しみだ。

 昨日に引き続き、『ほほえみの湯』での入浴を楽しんだ。最後の最後まで作業した人者同士、露天風呂で視線が合うと自然と会話になった。
 ほとんどの人は年齢どころか、名前すら知らない人がほとんどなのに。
 彼らとの話題の内容はほとんど覚えていない。話題なんて何でも良かったのかもしれない。
 ちょっとこの感覚は、自分の拙い文章力で表現できないのが残念だ。

 ぐったりしている中、通勤ラッシュに捕まったこともあり、4日間の中で一番帰宅するのに時間がかかった。
 それでも、何とか無事に帰宅することが出来た。
 車の後ろに乗せてあった長靴と軍手を下ろした。昨日までなら、汚れた長靴を庭先のホースで水洗いをしていたが、今日は明日以降に先延ばしにしても問題ない。
 作業で着ていた、汗と埃と泥にまみれたジーパンと長袖のシャツを洗濯して干すことも。
 そのことに気がついたときには、少しだけ寂しかった。

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普段は釣りに出かけるときに履いている長靴。まさか、災害ボランティアで使用することになるとは、買ったときには思っていなかった。
 初日で一緒に作業した女性に自分はあることを尋ねた。何故、災害ボランティアに参加したのかを。自分よりもはるかに若い彼女は語尾を上げて、次のように答えてくれた。「ダイエット?」
 彼女はダイエット出来たのだろうか。
 自分は4日間、炎天下の中で身体を使った慣れない作業を行ったが、嘘のように体重に変化がない。お腹まわりもメタポのままだ。何故だろう?
 だが、その代わりに何か得たことがいくつかある気がするが、それを説明し出すと長くなるので、今夜はここで筆を置こうと思う。

 今日、二度も一緒に作業をすることを誘ってくれた男性は来週の月曜日から岡山県に赴いて、ボランティアを続けるらしい。ほんとにタフなシニアだ。
 彼だけでなく、平成30年7月豪雨の災害ボランティアに参加した人、参加を続けている人、そして被災者に対して、何か贈れる言葉がないかを探したが、次の言葉しか思いつかなかった。
 どうぞ、元気でいてください。