淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

自宅の客間で自分をもてなす

 今朝、久しぶりに雨が降った。数十分だったが、しっかりとした雨で庭の草木は充分に潤った。
 おかげで庭の片隅に植えてある、茄子に水をまく手間が省けた。
 今年の夏の暑さを考えると、毎朝毎夕忘れないようにしなければならない作業だが、朝の起床時間によっては忘れてしまうことも、ままあるので。

 最近の朝の楽しみは、朝食を客間で食べること。自宅の客間は8畳の平凡な和室だ。掘りごたつだけは自分のこだわりで、家を建てたときに誂えた。
 自分が自宅を建てるときに唯一のこだわりであった、こたつの使用頻度が、このところそれほど高くなかった。
 最近は、自宅に人を招くことが、それほど好きではなくなったこともある。ここ2、3年は客間に人を入れるのは、年に数回ほどだろう。

 このごろは、この客間を自分のために使いだした。
 昨年末に購入したノートパソコンは普段、客間の掘りごたつの上に置いてある。今、この文章も掘りごたつで、足を伸ばしながら書いている。

 今年の初夏のある休日に、突然の思いつきで朝食を客間で食べることにした。キッチンと和室を何回も往復して、食器と食事を並べた。障子と窓ガラスを開け放して網戸だけにして、外から光だけでなく、風も取り入れるようにして。
 自分の視線が庭の草木に向かうようにして、座りながら食事をしてみた。すると、なんだか気持ちが良かった。
 朝食後には自分でハンドドリップをしたコーヒーを飲むのが、習慣になっている。食後にそのまま、客間で飲んでみるとコーヒーがより美味しく感じた。

 それ以来、客間で庭を眺めながら食事をすることに、すっかりはまってしまった自分。休日には朝食はもちろん、外出しない日には昼食まで客間で食べることが、多くなった。朝には朝の風を感じ、昼には昼の日差しに照らされる庭の草木を見ながら。今朝のように、雨の景色を見ながら食べるのも悪くない。
 もっとも、最近は暑さ対策のために簾越しの景色となっているが、それもまた風情があって気にいっている。

 今の現場で働きだしてからは、平日もほぼ毎朝休日と同じように、客間で食べている。
 ダイニングで食べるよりは、配膳と後片付けに時間がかかるので、多少早く起きなければならないが、そのことが苦にならないほどだ。

 何故、今まで身近にあったこんな素晴らしいことに気がつかなかったのだろうか。
 自分が試したきっかけは、今年の年明けに鑑賞した映画、『人生フルーツ』が影響しているような気がする。
 主人公の夫婦が、2人で並んで自宅の庭を見ながら食事をしているシーンが印象に残っているからだ。

 だが、若いときに自分がこの映画を観ても、それほど感動しなかった可能性もありうる。
 客間で外の風景を眺めながらの食事を試しても、価値を見いだすことも、同じくらいの確立だったかもしれない。
 加齢とともに価値観が変わっていくことの中で、自分にとっては悪いことだけではないことの、ひとつの徴だ。