夕方、行きつけのスーパー銭湯の脱衣所から出ると、スマホを見た。すると、プッシュ通知でニュースが届いていた。
たいしたニュースではないだろうと思いながらも、確認したら自分を驚かすようなニュースだった。
さくらももこさんが亡くなっていたのだ。今月の15日に乳がんで。享年53。
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自分は彼女の漫画はもちろんのこと、パーソナリティをしていたラジオ番組も時折楽しんでいた。
だが、彼女が残したものの中で一番のお気に入りは、エッセイだ。
初期エッセイ集三部作の『もものかんづめ』、『さるのこしかけ』と『たいのおかしら』はいずれも楽しく読ませてもらったし、今も自分の本棚に収まっている。
その中でも『もものかんづめ』は『アメトーーク!』の読書芸人で又吉直樹に押されたこともあった。
さくらももこさんの本業は漫画家。漫画だけでなくエッセイも気に入っている、漫画家は彼女以外に2人居る。矢口高雄と柴門ふみだ。
3人に共通しているのは、文章が軟らかい。もっと言うと、使う言葉が平易なのに様々なことを巧みに表現している。文章のテンポも良いために、非常に読みやすい。
また、先に彼女たちの漫画作品を読んでいるために、文章を読んでいても、親しみを感じられるので、余計にそう感じるのかもしれない。
だが、漫画家のエッセイ全てが読みやすい訳ではない。いくつもの漫画作品を気にいっている男性漫画家のあるエッセイを読んだことがあったが、まったく面白く無かった。それどころか、文章に微塵もセンスを感じなかったことに、読み終わってから驚いたほどだ。
今月の16日の夕方、時間があったので大型書店に行った。その際に彼女の未読のエッセイ集、『さくらえび』の文庫本が目に入ったので、購入するか迷ったが結局辞めた。
今、思うとその時には彼女はすでにこの世には居なかったわけで、そのことを何かしら自分は感じ取っていたのだろうか。
霊感どころか感は鈍い方なので、こじつけかもしれないが、それくらい自分は今、彼女の死に感傷的になっている。
毎週日曜日の夕方に『ちびまる子ちゃん』と『サザエさん』が30分ずつ、連続で放送される。
プロダクションや放送局の意向で、これからもその状態は続くようだ。
作者が居なくなっても、残った作品が人々を楽しませ続けることができるのは、作者冥利に尽きるのかもしれないが、彼女の死が早すぎると思わざるには、いられない。