淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

仁左衛門の湯 【秋の二都旅行 その3】

『ローリング・ソング』を観劇後に鑑賞のアンケートをロビーで書くと、サンケイホールフリーゼを後にした。16時を少し過ぎていたと思う。
 歩いて阪急の梅田駅に向かった。友人が阪急京都線のある駅に車を駐車していたからだ。

 友人は自分へのおもてなしプランを考えてくれていた。そのプランはまず、旅の疲れをお湯で癒すこと。
 久しぶりに梅田大丸の前をかすめ、阪急の駅へ歩いた。阪急三番街に近付くと、生粋の名古屋子としては引け目を感じずには、いられなかった。
 様々なディスプレイが洗練されていて、その前を歩く人たちも溶け込んでいたからだ。
 ただそれだけで、大阪と名古屋では大きな意味での文化の厚味が違うことを思い知らされた。
 駅の改札をくぐり、広い構内を歩いて京都線の特急に乗車した。

 降りた駅は憶えていない。友人に従って降りただけだからだ。ただ、駅から駐車場までのことは多少覚えている。
 途中、長岡京跡を横切るように友人がコース取りしてくれたからだ。
 平城京平安京の間に長岡に都が置かれたことは、よほどの物好きではないかぎり、どうでもいいことだろう。
 夕方とはいえ、史跡を訪れている人を自分たち以外には見なかった。広くはないが、史跡はそれなりに整備されていたのに。

 長岡京跡を見たことで、少しだけ京都に来た実感が沸いてきた。大阪の滞在は数時間で、入京したことになる。
 長岡京跡から、体感で10分ほど歩くと友人が車を停めたコインパーキングに着いた。実際はもっと歩いたかもしれない。
 友人の車は軽自動車ではあるが、青いオープンカーだった。友人は家族で行動できる車を保有していたが、昨年通勤のために使う車を買った。その車がおしゃれなオープンカーだった。

 自分がうどの大木のせいで、多少窮屈に感じたが気分は悪くなかった。自分は40年以上生きてきて、初めてオープンカーに乗ることができたからだ。しかも、秋の夕暮れの京の街で。
 駐車場を出て走り出すと、どの道も割と混雑していた。道が狭いせいもあるだろうが、助手席に乗ってまわりのドライバーの運転を見ていると、あきらかに名古屋近辺より運転のマナーが悪い。友人も同じようなことを思っているらしい。

 オープンカーが目的地の駐車場に停まった。目的地とは、『仁左衛門の湯』。入湯料は850円と少し高め。
京都桂温泉 仁左衛門の湯
 だが、入浴して納得した。源泉が2種類もあり、しかもどちらも掛け流しが味わえたからだ。一方の源泉は温泉、もう一方の源泉は冷泉だ。
 サウナもあるので、サウナ好きには水風呂代わりの冷泉はたまらないだろう。自分は好きではないのでサウナには入らなかった。
 それでも、冷泉にも少し入浴したが、秋の夕暮れには冷たすぎた。
 2種類の源泉を掛け流しで味わうことが出来た。まさか今回の旅で掛け流しの温泉に入浴できるとは思ってもいなかったので、友人のプランニングに喜んだ。自分は温泉好きで、しかも掛け流しこそが温泉の醍醐味だと思っているからだ。

 汗を流して、友人の車に戻ってくるとまわりは薄暗くなりはじめていた。中年男性2人を乗せたおしゃれな車が、洛西の夕闇の町並みを走っていく。まだ、宵ははじまったばかりだ。(つづく)