淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

5人で朝食を食べて 【秋の二都旅行 その6】

 バス停からコンビニはなかったと思う。静まった住宅地を友人に従って歩くと、小綺麗なマンションに辿り着いた。セキュリティーロックや宅配ボックスがある、高級感を感じるマンションだった。
 エレベータに乗った記憶はあるが、友人宅の部屋番どころか、何階かも覚えていない。

 友人が自宅の入口を開けた。後に続いて入室すると、彼の家族は全員寝静まっていた。時間が時間だけに当たり前かもしれないが。
 リビングの横の部屋に案内されると、布団と毛布と何組かのタオルが用意されていた。

 友人の奥さんは酔っ払いが嫌いだということを聞いていたし、子供が寝ていることにも配慮して静かに歯を磨いてすぐに横になった。明朝8時に起きることを約束して。
 1時前には眠りについていたと思う。夢も見ないような、自分にしては深い眠りだった。

 リビングの方から誰かが冷蔵庫を開けた音で目が覚めた。おそらく、ダイニングで誰かが飲み物を飲んだのだろう。スマホで時間を確認すると6時前だったので、また目をつむっていたが眠気はもう襲ってこなかった。やはり、しっかりと眠れたようだ。
 寝転びながらスマホでネットサーフィンをして時間を潰した。7時になると子供たちの声も時折聞こえてきた。
 頃合いだと思ったので、着替えて隣のリビングに出てソファーに腰掛けた。

 ソファーの横には鳥かごが置かれていた。腰掛けると、視線の横に来るようになっていたので、1羽の小鳥がよく見えた。おそらくインコだろう。
 小鳥の鳴き声と羽音が時折聞こえてくる。読みかけの文庫本を鞄から取り出して、リビングで読みはじめた。目が疲れると、鳥かごに目を移しながら。

 15分ほど過ぎたころだっただろうか。友人の妻がダイニングに入ってきた。お互いに挨拶した。
 彼女に会うのはほぼ20年ぶり。友人が結婚したばかりのころに、共通の友人と2人で新婚家庭にお邪魔したのだが、それ以来の再会だった。

 そのころに比べると、彼女の表情や姿勢がすっきりとしていた。
 当時彼女は20代。少女のような面影が微かに残っていたせいか、可愛らしいイメージも漂わせていたが、今の彼女は、凜とした感じで年相応の大人の女性に見えた。

 当時、彼女が振る舞ってくれた料理のことや自分が手土産にもっていったお菓子のことなどを話すと、彼女も覚えてくれていたようだ。
 自分のような、がらっぱちがパステルのとろけるプリンを手土産にしたら、似合わなさすぎて印象強くなるだろう。
 ちなみに、一緒に訪れた友人は自分がプリンを手土産にしたことを随分笑っていたし、しばらくは笑いのネタにもしていた。
 彼女はダイニングで食事の準備をはじめているようだった。

 しばらくすると、友人の下の子がリビングに顔を出した。小学校一年生の女の子が。友人夫婦には娘が2人いることを聞いていたが、対面したことは今までなかった。
 彼女は多少恥ずかしがってはいたが、珍しいタイプの来訪者が気になっているようで、少しずつ自分に近付いてきた。
 両親ともに国公立大学卒、しかも父親が一流大学の大学院まで出ているのだから、自分のような人間が友人家族から珍しがられても仕方ないはずだ。

 時折、キッチンから気持ちのよいリズミカルな音がきこえてくる。インコが立てる音だけだったが、聞こえてくる音の種類が少しずつ増えてきた。
 そんな音を聞きながら、また本を読み出すと上の子もリビングに来た。彼女は小学校四年生。自分の娘よりも、ひとつ上の学年になる。
 彼女は母親に言われながらではあったが、食器を並べたりトーストに塗るバターを切り分けたりして、お手伝いをしていたので、感心した。

 自分の娘が妻の実家や自分の実家など、どこであってもお手伝いをしているところを見たことがなかったから、余計に。
 友人の長女の齢にはあと一年あるが、それまでに娘がそんなことをするようになるのだろうか。
 出来損ないの父親が娘に高望みをするほうが、おかしいのかもしれないが。

 そんなことを考えていると、友人が起きてきた。彼の起床時間は約束よりは早かった気がする。
 彼が自分の隣のソファーに座ると、次女が彼に一緒に遊んでくれるようにせがんだ。『Nintendo Switch』で。
 自分は見るのも初めてだったが、一緒に遊ぶことになった。
 だが、まったく遊んだゲームソフトのルールが理解できなかったし、理解する前に朝食の用意が整った。

 友人の妻が自分の分の朝食まで用意してくれたのだ。考えたら、人に朝食を用意してもらったのは何時いらいだろう。友人家族4人と一緒に食事をしたのだが、旅行以外でこんなに大勢で朝食を食べたのは、かなり久しぶりのことだった。

 食事のメニューはトーストとサラダを中心としたアメリカンブレックファースト。料理を拵えた人の技量もあるだろうが、多人数で食べることで、より食事が美味しく感じた。食事中に友人の妻が、食事後の予定を友人に聞いていた。自分を京都観光に連れていってくれるつもりのようだった。

 ゆったりとした食事を楽しむと、友人宅を後にした。友人の車が駐車してある場所に市バスで向かうために。夜降りたバス停を目指した。
 表に出ると、前日と違い晴れていた。雲が少なく、日差しが強かったせいか多少暑さも感じた。京都は盆地で名古屋市よりも西国だから、気温も高いのは当然だ。

 道すがら、友人宅がある住所はどの区になるのかを尋ねた。京都市にはいくつ行政区があるのかもついでに。
 友人は、西京区であることと11か12の区があると、答えてくれた。
 帰宅してから調べると、京都市の行政区は全部で11区。
 西京区だけが地下鉄が走っていないことがわかると、ちょっぴりシンパシーが沸いた。
 名古屋で住んでいる自分の行政区も唯一、地下鉄が走っていないからだ。

 バス停に着くとわりとすぐに、バスが来た。友人に従って乗車した。休日の早めの午前中ということもあって、昨夜とは違い、車内はわりと空いていた。

f:id:mobemobe617:20180921224525j:plainf:id:mobemobe617:20180921224359j:plain
友人宅から最寄りのバス停。人影どころか、通行する車も少なく静かだった。
 しばらくすると友人がソワソワしだした。話を聞くと、どうやら乗車したバスは路線が違ったらしい。結局、終点のバスターミナルまで乗車して、違う路線に乗り換えることになった。

 バスは終着のバスターミナルに着いた。そのターミナルの名は洛西バスターミナル。
 友人がお手洗いに行ったので、1人でターミナル内を少し歩いた。まわりを見渡すと、のどかな景色が広がっていた。

f:id:mobemobe617:20180921205407j:plain
洛西バスターミナルのワンショット。
 友人が戻ってくると、車が駐車してある場所への最寄りのバス停を路線図で説明してくれた。
 バスターミナルだからかもしれないが、結構路線の種類がある。その割にはバスターミナル内に人影は多くなかった。平日の朝などは、どうなのだろうか。
 10分ほどで待っていたバスが来た。今度こそ、友人のマイカーが停めてある場所まで、すんなりと辿り着くことができるのだろうか。(つづく)