淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

一升瓶と五合瓶

 昨日の夕方、最寄りのターミナル駅近辺を両手に細長いビニル袋をぶら下げて歩いていた自分。左手のビニル袋には一升瓶が、右手のビニル袋には五合瓶入りの日本酒が入っていた。
 直前に、自分があるワインと地酒を中心に扱っている専門色の強い酒屋で買ったからだ。広くはないが地下にセラーもあり、地元では知る人ぞ知る店だ。マスターが目利きをしたワインや日本酒を見るだけでも、自分は楽しむことができる。

 どちらかというと今まではその店で自分はワインを買い求めることが多かった。もっと言うと、その店に自分が訪れたのはかなり久しぶりだったことに、訪れてから気がついた。
 ワインや日本酒の価値はそれほど値段に比例していないと考えている自分。確かにある一定レベルの価格があるとは思うものの。

 その店でお酒を買い求めることは、自分に取っては特別なこと。自分に対しての御褒美か、人に対してのプレゼントかのどちらかだ。
 昨夜は後者。ある女性への餞別を買ったのだ。彼女は日本酒が好きなことを知っていたので。

 ここ最近、自分が新たに飲んだ日本酒の中で一番気にいったものを贈りたかったから。そのお酒の名は、『長珍*1』。
 自分で店内を探しても目につかなかったので、いつものようにレジの横で存在感を醸し出しているマスターに聞いてみた。
 マスターはすぐにレジカウンターを出て、ある冷蔵ストッカーへ自分を促した。マスターの背中にうれしさが少し滲んでいた。
 冷蔵ストッカーを開けてマスターは、ある一升瓶を指差した。その特徴的な瓶は間違いなく自分が探しているものだった。生酒のために瓶が隙間無く、新聞紙に包まれていた。若い女性へプレゼントするには、全く不似合いな見た目。
 だが、味は間違いない。このダサい見た目からコップに注がれた呑んだ記憶を今でも鮮明に思い出せるから。
 それが証拠に最後の一本で、マスター曰くしばらくは入荷がないとのことだった。

 本当は同じ蔵本の商品で化粧箱に入ったような五合瓶の商品でもあればと考えていたが、仕方がない。その商品と隣県にある自分がお気に入り蔵本の純米吟醸の五合瓶を買った。
後者のお酒は見た目も、一升瓶のものに比べれば遙に洒落ている。相手にどちらかを選んでもらうことに決めた。選ばれなかったお酒は、後日自分で楽しむことにして。

 昨日は、自分が度々遊びに行っているガールズバーのあるスタッフが卒業の日だった。彼女の在籍期間は2年ほど、スタッフの中で一番の古株になっていた。
 昨年末に、本人から卒業の話を打ち明けられていたので、昨日はスキーにも行かずに予定を空けていたのだ。
 偶然、仕事で知り合った気の合う友人ともその日に、お酒を呑むことになったのも何かの縁だろう。

 友人と鉄板焼き屋で食事をしたあと、ガールズバーに向かった。店に入ると二人でボックス席に座った。ボーイ、ヘルプのスタッフがそれぞれ相手をしてくれた後に、昨夜の主役は自分の正面に座った。
 大きさの違うそれぞれの瓶を見せながら簡単に説明した後に、彼女にどちらが欲しいかを聞いてみた。彼女は一升瓶を選んだ。選んでくれた。
 店からの帰り道、荷物だけでなく気も軽くなっていた。