ほろ酔いで今、この文章を書いている。
晩酌に缶ビールを一本と日本酒をコップで一杯ほど嗜んだ。
立夏を過ぎたので暦上では既に夏。だが、酔った状態で屋内に居ても薄着だと少し肌寒い。
考えたらヒーターと電気カーペットをまだ片付けていなかった。例年ならすでに使っていない時期なのに。
街中で何件もはしごをしながら酩酊して、酔い覚ましに歩くのには今夜くらいの夜気が丁度良いのではないか。桜が咲き終わり、八十八夜くらいまでが。
酔いに任せて長い時間を歩いても汗をかかないし、手の指先に冷たさも感じないから。
うっすらとした意識の中、ぼんやりとしながら最後は家まで歩く。そんなことが数年に一度くらいはあるが、次に味わうのは、いつになるだろう? ネット社会が進むにつれて人がどれほど醜くなれるのかを問われているような気がしていた。少なくとも日本国内では。
逆にインターネットが普及してこそのメリットをあえて享受しないように見えるのは、自分だけなのだろうか。
たまたまの人生の流れでシステムエンジニアという仕事に辿り着いたから、自分がそう思えるだけなのだろうか。
IoTというキーワードを聞きあき、スマホが当たり前のように使われるようになって、どれくらい経つのだろう?
それでも一部の人間がアナログに執着していることが理解できないし、ここまでくると滑稽ですらある。
スマホでSNSを使ってメッセージを送ることは是でも、スマホのカメラとマイクを使ってLIVEでコミュニケーションを取ることを非とする人間が多いことにも驚かなくなってきた。心の奥底で、ヤレヤレと呟いてはいるが。
どこかの国の薄っぺらな大臣が『スマートライフ』なる言葉を掲げても、今のこの国の国民性ではなかなか浸透しないだろう。
というか、行政側もこのパンデミックを受けてどれくらい変わる意識が芽生えているのだろう?
FAXだったコロナの発症届が、やっとのことでweb化されたくらいだから。
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そんなようなことを自分一人、考えていても仕方がないことだとはわかっているが、それでもまたいつの間にか考えてしまう。
外を見るとキレイに月が出ている。月明かりに照らされた街を歩く代わりに、持っているカメラでベランダからシャッターを切ってみた。
パソコンのモニターで見るまでもなく、全く面白味がないままの月がカメラの液晶に、ただ写っていた。