在宅勤務になってからの食事はほとんど自炊ばかり。
食べるだけでなく、料理を作ることが好きな自分でも新鮮さがなくなってきたし、飽きてきた。
毎日の三食を作ることが、このごろは面倒に感じることも多い。
自分が作ることができるレシピには限りがあるので、食べる前から味の想像がついてしまっていることが、食事の楽しみを奪っている。 今日の昼食には新しいメニューを試してみた。試みたのは、サバ缶とトマトのパスタ。作り方はいたって簡単。
パスタを茹でている間に、熱したフライパンにオリーブオイルを引いて、おろした生姜とニンニクを入れる。
オイルに馴染んだらサバ缶と乱切りにしたトマトを投入。
白ワインを入れてから、火を少し弱くしながらパスタが茹で上がるのを待つ。
茹で上がったパスタをフライパンに移して、パスタのゆで汁を加えながらソースに絡ませる。
オリーブオイルを好みで回しかけてから火を止めて、きざんだ大葉を散らせば出来上がり。
15分ほどで出来てしまう簡単な料理だが、食べてみたら驚いた。
手早く作ったとは思えないような味。考えていた以上に奥行きがあった。
トマトの酸味が鯖の臭みを消して旨味だけを引き出している。大葉とオリーブオイルが絶妙な風味を加えていた。
午後から仕事をしなくてもよかったら、白ワインを飲んでしまったかもしれない。
夕食も同じものを作ろうと思ったほどだ。
何事にも猿のようにハマりやすく、飽きるのも鳩のように早いマスヲ。
サバ缶を食べるようになってから、どれくらいが経つのだろう?
少なくとも子供のころ、母や祖母がサバ缶を買ってくるようなことが、我が家にはなかった。
10年は過ぎていないと思うが、その間にサバ缶の値段はかなり上がったような気がする。
サバ缶を手に取るようになったころは、1缶を100円で買うことも難しくなかったが、今では200円前後する。
こんなところにも水産資源の枯渇の影響が出ているのだろうか。
サバ缶が庶民には手が届かなくなる日が来るのかもしれない。考えるとちょっと寂しい未来だが。
気がつくと、六月がすぐ手に届くところまで来ている。
今年も半分近くが過ぎようとしているが、印象に残っているような美味しい食べ物には、年が明けてからはまだ出会っていなかった。
このままいくと、サバ缶とトマトのパスタが今年の七味に入る可能性が高い。
いい意味で大晦日に選ぶ七味に、サバ缶とトマトのパスタが入いらないとよいのだが果たして?
最低でも自分が年末まで生き残ってなければ、七味を選ぶことさえできないが。