昨年末からお手伝いしていた現場での作業が終わった。厳密にはちょっとだけ野暮用が残っている。週明けの火曜日に、お客から借りているパソコンを返しに行く作業が残っているから。
春先ころは特にイライラさせられることが多かったが、終わってみればそれらも自分にとってプラスになったことが多かったようにさえ思う。
プログラムのコーディングやリーディングにはほとんど関与せず、ロジックと仕様の調整だけに徹した今回のような仕事が、自分には合っていることを改めて思い知らされた。
昨年末から三月末までは通勤の往復に三時間かけて、客先まで通勤していた。
通勤場所がセントレアへ向かう途中の駅だったこともあって、行き帰りに大きなトランクを持っている乗客に囲まれたことも懐かしい。
通勤先の最寄りだった駅は特急が止まらない駅。ひとつ手前の駅で降りることが次第に増えていった。
余分に歩かなければならなかったので、気を紛らわすためにスナップ写真を撮りながら歩くこともよくあった。
在宅勤務を経験できたことも今後の自分にとっては、大きかったのではないか。
今回、公に口外できるソリューションで一番感銘を受けたものはZOOM。
説明を受けたときにはSkypeに毛が生えたていどのものと捉えていたが、使えば使うほどに気に入った。最終日の今日もZOOMで2時間くらいはオンラインで会話した。
自分で言うのもなんだが、今回はまわりに対してそれなりには貢献できたのではないか。
客先常駐のシステムエンジニアとして長く働くようになるにつれて、その場だけ凌ぐことだけを考えがちになっていた自分だが、今回はちょっと違っていたように思う。
実際、自分が設計したシステムが出来上がって動いている。
数画面ほどの小さなwebアプリケーションシステムだが、できあがったものを見てエンドユーザーから多々な意見をもらえたことも、仕事が増えた面はあったが嬉しかった。
久しぶりに自分の本業で、誰かのためになったかもしれないという肌さわりを、ほんのちょっと味わえたから。
定時の17:30を過ぎるとパソコンの電源を落とそうとする瞬間だった。
ZOOMのチャットで一言のメッセージが届いた。お疲れ様でした、と。
送ってくれた相手は、作業上で自分とペアを組んでくれていた他会社の男性のエンジニア。彼は自分が住む愛知の隣の県の岐阜に住んでいる。
数回だけチャットでラリーをすると、岐阜では雨が降っていることを伝えてくれた。
天気のことを話題にしてくれていた時でさえ、自分との別れを惜しんでくれているように感じた。
そのエンジニアには助けられてばかりだったので、自分もチャットを続けたかったがキリがなくなると思って、短くおわらせるようにした。
仕事後に接骨院に向かった。
施術が終わって院から外に出ようとすると土砂降りの雨。
雨を見たとき、今の現場で最後に言葉のやりとりをした彼のことを思った。