朝から過ごしやすい。窓を閉め切って寝ていたが、明け方には肌寒さを感じたほどだ。
惰眠をむさぼっていたが洗濯物が気になったので、ベランダへ干すためにベッドから起きた。
午後に一時的な雨の予報が出ているとは思えないほど空は青かった。柔らかな陽射しとは言えないかもしれないが、真夏の時ほどは光が強くない気がした。
朝食を簡単に食べた。メニューはパン、カップスープ、ヨーグルトと野菜ジュース。迷ったがコーヒーは飲まなかった。
朝食後に会社から促されていたストレスチェックをオンラインで行った。
チェック後の結果の冒頭には次のように書かれていた。
『あなたは職場でのストレスが多く、ストレスによる心身の自覚症状もあります。 早めのストレス対策と専門家への相談が望まれます。』
このことについての会社からのリアクションはあるのだろうか。あったらあったで面倒な気がしてきた。
他にも会社からの指示が残っていたが、気分を変えるためにも今日はそこまでにした。
読みかけている文庫本を開き、窓側に近いタンスに寄りかかって座りながら読み始めた。
気怠さが強くなってきたので、本を閉じてそのまま畳の上に横になってぼんやりとしていた。
簾越しの風と光を優しかった、九月最初の土曜日。
こんなことをしていていいのかと自問自答することが多くなっている、このごろ。
九月の風がそんな自分を慰めてくれたような気がした。
頭が少しクリアになってきたので、文庫本を読み始めた。すると、ある一節に目が留まった。『どこにも行けなかった夏』、と書かれていたから。
今年の夏は楽しめたとは言い難い。
海やプールで泳ぐことはなく、泊まりがけで遠方に行くことはなかった。ビアガーデンでビールを楽しむことさえもないまま過ぎていった今年の夏。
娘と春先から会っていないが、少しは夏を楽しめただろうか。
長い人生の中、少しくらい変わった季節があった方が、思い出になるのかもしれない。
来年の夏のことについて思いをはせていたら、大きな音を立てながらトラックがゆっくりと家の前を走っていった。