朝から爽やかに晴れていたせいなのだろうか、寝起きから心身ともに軽かった。
久しぶりにどこかを散歩したくなったので、朝食を食べるとすぐに車で家を出た。
向かった先は有松。古い町並みを写真に撮ろうと思ったからだ。
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先日、又吉直樹の『東京百景』を読了した。芥川賞作家である彼が東京の地名にちなんだ100編のエッセイを書き連ねた同作。
読んでいる途中から、自分も名古屋の街にちなんだ文章を書いてみたくなってきた。
誰もが知るような作品に、名古屋が舞台なったことが少ないのは、絵にも文章にしても映えない街だからなのだろう。
50年近く生きてきて有松を訪れたのは初めて。大手の私鉄、名鉄本線の駅があるのは知っていたが、ホームに降りたこともなかった。
有松の古い町並みは駅から歩いてすぐのところだったが、駅前にあるイオンも存在感があった。
イオンの駐車場に車を停めることも考えたが、駅近くのコインパーキングに停めた。
車を停めた場所からまずは東、旧東海道沿いを江戸に向かって歩いた。
一方通行で歩行者も少なかったので、初秋の風を感じながらのんびりと歩くことが出来たが、15分ほどは歩いただろうか。国道一号線が見えてきたので、一本裏の道を引き返した。
しばらく歩くとなつかしくていい香りが漂ってきた。誘われるようにそのまま進むと小学校が見えてきた。
なつかしさを感じさせたのは給食。調理室から香りが流れてきたようだった。
自分が小学校で給食を味わったのは40年近く前。そのころと同じようなレシピがまだ残っているのかもしれない。
駅の通りを超えてさらに西へ歩いた。車が入れないような細い路地を歩くのが面白かった。ふと、同じ道を古人が歩いたような気がしたからだ。
先を進むと旧東海道に突き当たり、その場所に看板が建てられていた。看板には自分が歩いてきた道も古い道だと説明が書かれていた。
東西に走る三本の道を行ったり来たりして二時間近く、有松に滞在した。
映えるような場所はなかったが、来てよかったと思う。誰かに強く勧めようとは思わないが。
人によって感性は違う。
自分だって今日ではなく明日に訪れていたら、全く別の感じ方をするかもしれないから。