熱田神宮へお参りしてきた。
季節柄、七五三での家族連れや神式での挙式をしている一行を境内で見かけたが、自分はただ一人。
しかも、完全についで参りだった。
熱田駅周辺で撮影会に参加してポートレートを撮るつもりで家を出たのだが、予定よりも早く着いたので時間を持て余したからだ。
名古屋っ子のくせして、熱田神宮へ最後にお参りしたのがいつだったのかは、はっきりしない。
それでも、いくつかの思い出があるので今日はそのことについて書き進めたい。
二十歳のころ、境内の榊に結われられたおみくじを取り除く作業を手伝ったことがある。
お正月明け、冬が一番深まったころだったと思う。バイトをしていたマクドナルドの社員からの指示だったので。
名古屋市近辺のお店から店舗毎に最低でも1名は参加させることが決められていたようだった。
男性社員の二人から手伝いに行けば他の店の女性と知り合えるかもしれないと、はやし立てられたが言った本人たちは、きっともう覚えてはいないだろう。
その結果は、馬鹿馬鹿しいほどに想像が付くからあえて触れない。
神宮からのお礼を受けたことは記憶に残っている。一般の参拝者が入れない場所で、他の参加者たちと一緒に神職からお祓いを受けたことを。
もうひとつのエピソードは自分が初めて会社員になったころだったように思うが、どの季節だったのかもあやふやだ。
東京に住んでいた弟のガールフレンドが名古屋に遊びに来た際のこと。
当時はプレイボーイだった弟に他の用事ができたので、自分が代わりにガールフレンドと数時間ほど、代打でデートをしたことがあった。
熱田神宮を二人でお参りし、その後に櫃まぶしを食べたことを覚えているが失礼な話、彼女の名前はおろか容姿すら忘れてしまった。
自分をピンチヒッターに指名した過去のモテ男は、そのことを覚えているのだろうか。
自分にとって、いくつかの思い出が残っている熱田神宮だが、付近はすっかり寂れてしまっている。
アーケード街はシャッターが閉まった店が多くなっているし、人通りも疎らだ。JR、名鉄と地下鉄の駅があるターミナル駅がある街なのに。
駅近くのコインパーキングを利用したが、駐車料金は栄や名古屋駅近辺に比べると安かったので、地価はそれなりなはずだ。
熱田の街に活気がなくなった理由は何なのだろう?
通り過ぎる人よりも、何故かよく目に付いた政治家のポスターが何かを物語っているような気もした。