淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

センチメンタルジャーニー

 天気予報の通り、昨日は一日雨だった。土曜日は二週続けての雨降り。
 昨日は桜が咲いていたせいか、雨が自分を感傷的にさせた。

 いつもの土曜日のように6時台に起きて車で営業所に向かい、営業所でローリー車に乗換えて国道41号線を北へ向かった。
 年度末最後の土曜日なこともあってか、先週よりも走っていた車は多かった。

 41号線の交差点で止まったときに左手にオークマの工場が見えた。亡くなった父が新卒後に入社した会社の工場が。
 そのころのことを父から聞いたことはほとんどなかったが、当時の父親のことをなんとなく想った。
 どれくらい勤めたのかさえ知らないが、やがて父はフリーで機械設計の仕事をはじめたことは知っている。

 右手を見ると、かつて自分が勤めた病院が見えた。
 その病院に自分が勤めたのは19ヶ月間。
 父親がオークマに籍を置いていたのとどちらが長かったのだろう?
 工場と病院の立地に運命的なものを初めて感じた。

 営業所から巡回販売先への往復はスマホで音楽などを聴くことがほとんどだが、昨日の往時は何も聞かなかった。
 どこかセンチメンタルになっていたのかもしれない。
 運転しながら、雪が降り積もったクリスマスイブの日などのことをなんとなく思い返していた。

いつかのお散歩ショット。

 先週も暖かかったので、売れ行きが芳しくはないだろうと覚悟はしていたが、自分の想像よりも酷かった。
 394ℓ。たった、ポリタンク21本ほどだった。
 花冷えや梅雨寒などへの備えや、挨拶代わりに買ってくれるお客がもっといるかと思ったが、そうでもなかった。

 巡回ルート上にポリタンクが置かれていなければ運転席から降りなくてもよいので、身体は楽だ。
 だが、お得意先の家の前に何も置かれていないのを見るのはちょっぴり切ない。特に毎週のように買ってくれたお客さんだと。
 そんな時は、心なしかアクセルを少し踏んでいたことに気がついた。
 お客の家の前で止まったり、さらにスピードを落としたりするとねだっているような気がして、気恥ずかしいからだ。

 それでも、何人かのお得意さんと最後の挨拶ができたのはよかったし、昨日は買ってくれなかったお得意さんの家の前を通り過ぎるときには心の中でつぶやいた。お世話になりました、と。

 巡回先からの帰り道の途中で雨がやんだ。県境を越したころから、アスファルトは乾いていた。
 愛知県から岐阜県可児市までは近いようでも、やっぱりそれなりの距離がある証拠でもある。

 営業所に戻ると、自分より先着が一人。自分に僅かに遅れて一人が戻ってきた。
 自分を含めたその三人に共通点があった。巡回販売先が可児市だったこと、売上げた数字も似たようなものだったことだ。

 後作業を終えると、その二人と自然に握手を交わした。ここ最近には経験がないような互いに力強い握手だった。
 前にお手伝いした2シーズン最後の日には、そんな記憶がない。
hatehatehahaha.hatenablog.com
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 最後に所長と来シーズンのことを少し話した。
 正直、来シーズンが始まる十一月に自分がどうなっているかはわからない。特に今年は会社員を辞めて、来月からフリーで仕事をはじめるから。

 ただ、所長から言われたのは、この仕事は誰でもできる訳ではないということ。
 自分たちやそれ以上の世代の人間ならば当り前のように持っている中型免許証を持っている人が今は少ないらしい。
 また、所長は危険物取扱者の資格の合格よりもトラックを運転する方が難しいと口にした。

 今シーズンも灯油の巡回販売のお手伝いをなんとか無事に終えた。
 前2シーズンとはいろいろと違ったこともあったし、考えたことや感じたことも違った。

 はじまってすぐに巡回担当エリアが変わったこと、雪が降り積もった中で奮闘したクリスマスイブのことは得がたい経験だった。
 それらの経験が自分にいろいろなことを考えさせたり、感じさせたりした。

 巡回エリアが変わってすぐに戸惑ったことはお手洗いとローリー車を停めることができるような食事処が少なかったこと。
 コンビニもトイレがある公園は少なかったし、巡回ルート上に道の駅もない。
 担当エリアによっては、ありうる問題だと最初のシーズンに先輩から聞いてはいたことを思い出した。
 ちなみにこの先輩は、今シーズンは見なかった。

 担当コースが変わってすぐに気がついたのは、自分が住宅地図を意外と読めること。
 このスキルは20代のころに宅配便のドライバーとして働いていたことで身についたのかもしれない。

 今シーズン一番感じたのは、住んでいる地域が明らかに人へ与える影響があるとわかったこと。
 同じ岐阜県内でも、もっと言うと同じ市内でも住んでいる場所が違うだけで、そこに住む人たちの雰囲気に違いがあることがわかったのは新鮮だった。

 この仕事は毎日が小さな旅のようでもあるし、シーズンを乗り切るとそれなりの旅を終えたような感慨が味わえる。
 サラリーマンにとって週に二日の休みの一日を働いたデメリットももちろんいくつかはある。特に雪遊びにはもっと行きたかった。
 ただ、それでも今シーズンは毎週の土曜日は旅に出かけてよかったように思う。
 旅を終えてあらためて。

今日の写真のモデルはゆうかさん。