マスヲの好きなある小説内の会話で次のような言葉ある。「お金があれば嫌な奴に頭を下げずにすむ」というセリフ。
主人公が子供のころに父親からそのセリフを聞いたことを回想するシーンがあった。
初めてこのセリフを読んだ時にもインパクトはあったが、時間の経過とともにマスヲの中での印象はより増していった。
だが、そのころは若かったのでしばらくすると逆説的に考え直せるようになった。お金がなければ嫌な奴にさえ、頭をさげれば生きていける、と考えるようになった。
さらに考えは飛躍していった。誰にでも頭さえ下げればある程度のお金は稼げる、と。
だが、今のシステムエンジニアの仕事に就き、結婚生活を続けるうちに考えはまた変わり始めた。
今の職種では、まず仕事上でありがとうと言われないことに、気がついてしまったからだ。
昨年、某NE○の社員の指示の元で日本№1の自動車メーカーの仕事をした時のこと。
某NE○の社員が次のように言っていた。この仕事はミスなくやって当たり前で自分で素晴らしい仕事をしたと思っても決してお客からは褒められない、と。
大手の社員でさえ、お客から感謝されないのであればマスヲのような3流エンジニアがお客から感謝されないのには納得したが、それ以上にがっかりもした。
システムエンジニアの仕事は地味で重い荷物を少しずつ積み上げていくようなものだ。まず、一発満塁ホームランを打ったような華麗なシーンには出くわさない。
そんな地道な仕事をしても誰からも感謝されず、失敗すれば当たり前のように怒られる。
当然、嫌な奴にも頭を下げるだけではなく時には強く叱責されたりもする日々が続いていく。
なので、この頃は改めて冒頭に書いたセリフの重さを噛みしめることが増えてきた。
ただ、その言葉を振り返るだけでなく1日でも早く嫌いな人間に頭を下げなくてもいい生活をするために、少しずつではあるが貯蓄に対する意識が強くなっている。
また、来年中には20代で分不相応に建てた自宅のローンも終わる。まずは、ローンを払い切ることがひとつのターニングポイントだと考えている。
もし、ある日働かなくもいいような大金を取得したらマスヲはどうするだろう? 好きではない人間に頭を下げずにまわりの人たちから感謝されるのであれば働いてもいいと考えている、妄想族の1人だ。