自分が書いた小説が掲載されている同人誌を、昔同人だった年上の友人に、先日手渡した。平日のお昼時に。
彼から昼食とお茶をご馳走になりながら、雑談をした。むかしは、よく一緒に呑みにも出かけた仲だったが友人の体調を考えるとお酒は控えた方がよいようなので、最近は一緒に夜出かけていない。
彼は地元の地銀に勤めていて、今は定年を過ぎたために出向して関連のリース会社に在籍している。
アパートを2棟建てているために家賃収入もあるので、悠々自適のようだ。
そんな友人の今の趣味は写真撮影。カメラやレンズにお金をかけているようだが、なかなか自分が満足できる写真が撮れないようだ。
彼と知り合ったのは同じ小説教室に通っていたころ。今から20年ほど前。ほぼ同時期に小説教室に入り、同人誌にも同時期に参加した。
彼は器用なのだろう。自分よりも優れた作品を同人誌にもいくつか発表し、巻頭にもなったくらいだ。
会社で順調に出世していたことからも、もそつなく仕事をこなしていることも伺えた。
そんな彼がカメラだけには苦戦しているようだ。自分がイメージしているスキルの上昇曲線よりもかなりずれているのだろう。
だからこそ、夢中になるのもわかる。自分がスキーに飽きないのと同じだから。
そんな彼に小説を書かないのかと話を振った。できれば、また2人で同人誌を盛り上げたいと思ったからだ。
自分や彼のようなタイプの作品を書く作家は今の同人にはいないと考えているからだ。
すると彼は、自分が思っていないようなことを答えてくれた。文章を書いていると夜型になってしまうから、と。
彼の言葉に自分は少し納得した。確かに夜に文章、特に作り話である小説を夜に書きたいことに。
自分の世界への浸り方でもナルシスティックになりたい場合は、夜の方が向いていると思う。もっと言うなら深夜の方が。
だが、昔からの諺で『夜書いた手紙は出すな』というものもある。
自分も仕事で自社の上司に送るEメール、しかもデリケートな内容のものは夜書くときには、かなり気をつかっている。時間が許せば、明朝見直してから送付することもよくある。
自分が今回書き上げた作品は、一晩の夜の話だが原稿を書いたのは日中が多かったし、意識して日中に書くようにした。
作品の中で肝になっている部分は、休日の午前中に時間を取ったほどだ。
毎日書いているこのblog。書く時間はどうしても夜になることが多い。
今日は土曜日だったのに、夜書いている。夜だと、ただでさえ感傷的になり易いのに、外は春雨。しかも、雨音が聞こえるほどの。
後日、自分でこの文章を読み返してみると、ナルシスティックに感じてしまうのだろうか。恥ずかしいくらい。