淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

のどかな出勤だったが

 今日は月1回の心療内科への通院日。予約制の診察のために、診察時間は割と自由に患者が選択できる。自分はいつも、午前中のゆったりとした時間を選ぶ。おかげで心療内科での診察を受ける日は、いつもの朝よりは多少のんびりできる。

 味がわからないほどに急いで朝食を食べたり、すし詰めの通勤電車内で息苦しい思いもしなくてもすむ。
 おまけに今日は真冬の朝にしては、温かい陽射しがさしておだやかだった。風もなく、ホームで電車を待っていても、アウターが必用だと思えないほどに。

 自分が乗る予定の電車がホームに停まったので、乗り込むと電車の扉がなかなか閉まらない。すると、車内に車掌からのアナウンスが聞こえてきた。
 ある踏切で人身事故が起きたこと。その関係でしばらく、電車が動かないことを。乗客たちは思い思い、それぞれの行動を取り始めた。諦めてそのまま電車に残る客。とりあえず電車を降りて、ホームで誰かに電話をする客。改札まで戻り、駅員と会話をしている客などなど。

 取り急ぎ自分はまず、スマホのアプリでタクシーを呼んだ。周囲に回送車が少ないようで、10分以上かかることがわかった。
 次に診察を予約していた心療内科へ電話した。予約の時間に行けないこと、何時までなら診察を受け付けてもらえるかを。
 幸い自分の主治医の予約は今日、多少は余裕があったようだ。正午までに診察券を出すことができれば、診察を受けられることがわかった。

 電話をしながら、改札を抜けて表通りを歩いていた。最寄りの市バスの停留所まで。最寄りのターミナル駅まで行くことができる路線の次のバスは、ほぼ1時間後だとわかったので、諦めて駅に戻った。タクシーの乗車場所を、駅にしていたからだ。
 駅に近づくと、駅員が大声で何かを叫んでいる。自分は急ぎ足で、駅員の言葉がわかる範囲まで急いだ。すると、今ホームに停まったままになっている電車が、まもなく動き出すことを告げていた。急行電車だったので、次次駅までは運行することと、その先の予定は未定であることも。

 ホームまで走りながらもスマホを操り、予約していたタクシーをキャンセルした。自分が電車に乗ると、自分が先ほど降りたときよりも乗客はかなり増えていた。シート席に空きは無く、座ることが出来ないばかりかちょっとしたラッシュ時のようだった。

 急行電車はホームを離れると、各駅停車することもなく順調に進んだ。ただ、予定よりも20分以上は遅れて。
 乗車中、仕事先の現場のリーダーへメールを送った。人身事故で通院先に向かうことが遅れること。予約診察のクリニックだが、予約時間に到着できないために診察の終わりが何時になるかも全く想像がつかないことを。
 リーダーは何も突っかかってこなかった。そのことは想像通りだった。リーダーの在籍している会社は、人身事故が起きた路線の鉄道会社のシステム子会社だから。

 予定の駅に到着するとほとんどの乗客はそこで降り始めた。その駅より先の運行は未定であると、走行中に何度も車掌からアナウンスがあったからだ。
 幸いその駅はターミナル駅でJRや名古屋市営地下鉄の駅もある。繫華街やオフィス街へ向かうならば幾通りのルートも選択できる場所だった。

 だが、自分が多くの降客と混じりながら階段を下っていると、驚くことが起きた。先ほどまで乗っていた電車が動き出したからだ。
 自分は改札に立っていた駅員に、延着証明書の受け取り方法を聞くと、改札内の窓口に向かうように促された。その窓口へは長い人の列が出来ており、その列もどんどん伸びていく。

 自分は気になって、列の後ろから前をのぞき込むと窓口で駅員に食ってかかっている中年女性がいた。彼女の怒りは、この駅より先の運行は未定だとアナウンスがあったのに、実際は違ったことが気に入らなかったようだ。
 もちろん、自分だってそうだ。おそらく、彼女の後ろに並んでいるほとんどの人は同じ気持ちだっただろう。
 だが、自分は彼女に対して最も苛ついた。次に彼女に応対している駅員や鉄道会社に。

 クレームを口にしている彼女に、本当は言いたかった。世の中、1分1秒を争うようなことはほとんどない。あるとするならば、身内や知己などのよっぽどな不幸くらいだと。
 また、鉄道会社には準備不足だったことも、指摘したかった。人身事故なんて今時珍しくない。それなりの想定をして、普段からそういった準備を鉄道会社は行っていなかったのだろうか、と疑問に思えて仕方がなかった。ほとんどが後手後手の対応に見えたから。

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降りた駅で事故状況を伝えていたホワイトボード。
 自分も含めた多くの人は少しでも早く、延着証明書を受け取りたかったはずだ。それを察してかしばらくすると、他の駅員が延着証明書を配りだした。自分は受け取ると、改札を抜けてJRの駅へ急いだ。

 JRの電車に乗ると、急に仕事に行くのが馬鹿馬鹿しくなってきた。予約時間に診察を受けられないので、クリニックでの待合も長くなる可能性だってある。
 そんな思いまでして、何故現場に向かわなくてはならないのかと。1日くらい自分が仕事を休んだところで、この世の中に何か影響がある訳でもないし、自分の給料だってほとんど変わらないだろう。

 同じ電車に乗り合わせた人たちはどうしたのだろう? 皆、そのまま今日予定されていたことを全て遂行したのだろうか。
 何割か、数%か数人かは全てを投げ出した人がいなかっただろうか。自分のように妄想しただけで、そんな人は1人もいなかったのだろうか。今、この文章を書いていても気になっている。

 ちなみに、自分は予定より1時間遅れで現場のオフィスに到着した。それほどの成果を仕事として残せたとは思えないが、今日もなんとかやり過ごすことだけは出来た。

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現場オフィスへ急いだために、普段乗らない市バスにも乗った。