今日の午前中は会社の健康診断だった。
検診の時間は午前中の遅めに予約してのんびりすることを考えていたのだが、検診が終わるまでは食事ができないために、朝から空腹感を感じていたのであまりのんびりできなかった。
空腹感を紛らわすために平日でしか扱ってもらえない事務処理をしてもらうために、ある役所へ出かけることにした。
9時少し前の電車に乗ると電車内はゆったりとしていた。座ることができたので、座るとすぐに鞄からある本を取り出して読みはじめた。
「遊び人の日記?」でも触れたが、平野啓一郎の『マチネの終わりに』を再読中だからだ。
もちろん、作品として素晴らしいので再読しているのだが、マスヲが勝手に平野啓一郎氏に変な先入観を持ちすぎていた感覚があったこともあるし、読後感で気になった点を確認することも目的だ。
役所での事務処理を終えて、検診先に向かうと予約時間は10時30分だったが、その20分ほど前につくことが出来た。
おかげで余裕を持って受付をすることが出来たし、検診ものんびりと出来た気がする。
検診中に他の検診者を見ていると、マスヲの目がとまってしまう女性がいた。
年齢はおそらく50前後だろう。髪は年齢を感じさせないほど黒く艶があり、軽くカールしながら肩までかかっていた。
肌が白くて、かといって不健康さを感じるような青白いというほどでもない。
健全な体型で痩せているために表情が変わるたびに、ところどころに皺がよるのだがその皺にも気品を感じた。
日本人とは思えないほど顔の目鼻立ちもはっきりとしていた。
誰かに似ている気がして必死に考えていたら気が付いた。
『マチネの終わりに』のヒロイン、小峰洋子のイメージにぴったりだということに。
作品中で彼女はユーゴスラビア人の父と日本人の母とのハーフという設定になっている。
今まで小説の登場人物のイメージを抱かせるような人にあったことはなかったし、そんなことを考えてみたこともなかったので自分でもびっくりした。
少しだけなんらかの理由で感性が増しているのだろうかと考えるのは、きっと自惚れだろう。