淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

春の嵐の夜に 【大人の社会見学のあとに】

 岐阜の柳ケ瀬の催された大人の社会見学に参加した夜は長かったので、今日は岐阜を去った後の余談について書こうと思う。
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 社会見学のあとは柳ケ瀬のキャバクラで飲んでいた。社会見学に誘ってくれた友人はそのキャバクラのある女性が気になっているからだ。
 自分その店に遊びに行ったのは2度目。名古屋駅や錦のキャバクラで飲むよりは印象が良く感じる。
 楽しんだおかげで岐阜駅から名古屋方面の電車の時間が厳しくなっていたが、タクシーを使ってなんとか間に合った。

 JRの東海道線から中央線を乗り継いで大曽根に着いた。社会見学で出された料理は食文化を学ぶためのものだったので、少々ボリューム感に欠いた。
 普通の人なら足りたかもしれないが、自分は良く食べる方だからかもしれないが。
 駅に着くころには空腹感を覚えたので、ラーメンが食べたくなってきた。

 大曾根駅のターミナルから見えるラーメン屋に向かった。雨が強くなり始めたので小走りで。
 のれんをくぐるなり、お店の大将に今日は店じまいだからと、けんもほろろに断られた。
 仕方がないので、駅を挟んで逆方向のラーメン屋に向かった。普段はなかなか足が向かないチェーン店だったが、雨にあまり濡れない距離の中では他の店が思いつかなかった。

 雨は少しずつ強くなってきて傘を持っていない自分にはきつくなってきた。濡れながら歩いていると途中にファミリーレストランが見えたので、一瞬考えた。その店でパスタを食べることも。
 だが、やはりラーメンを口にしたかった。酔った身体が要求しているのか、酒に支配された脳がそうさせているのかはわからなかったが。

 ある雑居ビルの前で声をかけられた。自分が時々遊びに行っているガールズバーの黒服に。自分が向かっているラーメン屋の方向があっているかを尋ねると、もう少しだと教えてくれた。彼の前を通り過ぎて、先を急いだ。
 ラーメン屋の灯りが煌々と点いているのを見るとほっとした。入店すると店内にお客は誰も居なかった。
 カウンターに座り醤油ラーメンを注文した。するとすぐにラーメンが出てきた。他に注文もないので早かったのだろう。

 この店で食べたラーメンは久しぶり。昨年の今頃、休日出勤したお昼に現場近くの店で食べた気がするので、およそ1年ぶりだろう。
 その時よりも格段に美味しく感じた。休日出勤の時は何を食べても素直に味わえない気がするのは、きっと自分が仕事嫌いなせいだろう。
 あっという間に食べた気がする。店の時計を見ると日付が変わっていた。会計を済ませて雨の街に踏み出した。

 先ほど声をかけられたビルの前まで来ると、先ほどの黒服はいなかった。彼にこちらが欲しかった情報だけを聞いたことが少し気になっていた。
 他の店の黒服と女の子が、自分たちの店をサジェストしてきた。さきほどの彼とのやりとりが気になっていたので、丁寧に断ってエレベータに乗った。

 お店の扉を開くと予想に反して多数のお客で賑わっていた。おかげで拍子抜けしてしまった。
 カウンターにお客が2人。ボックスの方には女性も含めたグループ客が陣取っていた。天気予報では嵐の襲来が予想されていたが、気にしない人も多そうだ。自分も含めて。
 黒服の彼と目が合ったのでコートを脱ぎながら軽口をたたいた。これなら帰っても大丈夫だね、と。

 自分が飲み始めると、カウンターで隣に座っていた客が帰っていった。しばらくするともう一人のカウンターのお客も。
 すると、あるお客が入店してきた。スーツを少々派手に着こなしていた男性客が。30代後半くらいに見えた。
 どうやら初めての来店らしく、この店がガールズバーだということもわかっていないようだった。

 彼は自分と少し離れて座ったが、酔っているような感じだった。自分よりも格段に。次第に自分に対して馴れ馴れしい態度を取るようになってきた。
 自分のキャラのせいか、そういう態度を他の客に取られることは珍しくなく、いつもならお互い様だと思うことがほとんどだったが、その夜はそう思えなかった。

 彼は名刺を差し出してきたので、仕方なく名刺を交換した。医療系のコンサルをしているらしい。
 話を適当に併せていたら、自分がむかし勤めていた医療法人もお客のようだった。しかも、日中に院長に会ったばかりだったことも話し出した。

 彼は一体この店でどのように楽しみたいのかが、自分には全くわからなかった。
 店のスタッフどころか自分にもカラオケをしつこく強要してきた。店のスタッフが一曲歌ったあとには自分に対してしつこくなってきた。
 最近、人前ではほとんど歌わないからとなだめても、承知してくれなかった。
 渋々一曲、彼と一緒に歌った。GLAYの『都忘れ』を。
 その後も何度も催促されたが、それ以上は取り合わなかった。
 帰ろうとするとくどく、引き留められた。根負けしてワンセットだけ付き合った。
 彼は財布の中身が乏しかったようで途中でカードが使えるかをスタッフに聞いていた。
 どうやら仕事関係、しかも上司への不満が高まっているのを彼から感じた。
 もちろん、ストレスを解消するためにお酒を口にすることも、ガールズバーに遊びに来ることも否定はしない。自分だって同じようなものだから。

 2時を過ぎたので自分は帰ることにした。彼は閉店まで延長するとのことだった。
 自分は1人で飲みに出かけたときは周りに絡まないようにおとなしくしているつもりだ。しているように気を付けているが、実際はどうなのだろう?
 彼の態度を見ていたら自分のお酒の飲み方を自答せずにはいられなかった。春の嵐の中でタクシーを探しながら。