近場の魅力有る場所には案外、足が遠のいてしまうかもしれない。昨日は午後からそんな場所に出かけてきた。長良川温泉に産まれて初めて。
30代のころ、岐阜市内の柳ヶ瀬近くに所在している会社で、一年ほど働いたことがある。その職場では今でも付き合いが続いている友人ができた。
その友人は自分と同じで呑み歩きが好きで、仕事帰りに柳ヶ瀬や玉宮町の様々な店でグラスを傾けたことが、今となっては良い思い出だ。
彼と知り合ったことがきっかけで、柳ヶ瀬や玉宮町の魅力に取り憑かれた自分。今でも一年に数回は岐阜市内に出かけているのにも関わらず、長良川を渡るどころか近づいたことさえなかったのだ。
昨日、岐阜市内で彼の仕事後に再会することになっていたので、自分はそれまでの時間の過ごし方を考えたのだ。有給休暇の消化中の自分にとって、時間はあるがお金は貴重なので。岐阜までの交通費を支出するならば、普段なかなかできないことをしようと思い立ったのだ。いろいろ思案した末に、長良川温泉で日帰り入浴を楽しむことにした。
TVなどでよく紹介される温泉だが、自宅からは泊まりでいくほどの距離でないこともあって、今までに一度も入湯したことがない温泉だったから。
インターネットで日帰り入浴できる場所を決めた。入湯先は、老舗旅館の『十八楼』。岐阜駅から岐阜バスに乗車して、『長良川橋』のバス停で降りると目と鼻の先だ。www.18rou.com
『十八楼』に着くと、まずフロントで驚いた。フロント内で働いていた数人の女性が全員、魅力的だったから。しかも、老舗旅館のわりに気取っているところもなく、接客も感じがよかった。
日帰りの入浴であることを告げると、初めての来館かを訪ねられたので、頷くとフロント係の女性1人が浴場まで案内してくれた。
自分が訪れた時間は15時30分過ぎ。『お湯処川の瀬』が利用できた。どうやら、日時によって利用できるお湯処が変わるようだ。いくつかあるお湯の中でも、自分が気にいったのは、『蔵の湯』。移築した趣ある古い蔵の中で、褐色した源泉を掛け流しで楽しめた。
ちなみに、入湯料は1,000円。アメニティも揃っているので、手ぶらでもお湯を楽しむことができる。
温泉を上がったあとは、湯冷ましに付近を少し散歩した。目の前は長良川なので近くに鵜飼船の発着場があったし、川端康成にちなんだ碑なども立っていた。その碑のまわりには桜の樹がちらほらと花を咲かせていた。 バスで再び岐阜駅近くの玉宮町まで戻ってきて、お気に入りの立ち飲み屋で湯上がりのビールで喉を潤した。おでんと串揚げがおすすめの店だ。
ビールの後に冷酒を味わっていると、仕事が終わった友人と合流できた。
その後、19時からは昨夜の主目的である、一人芝居を友人と2人で観劇した。一人芝居を観たのは初めての経験だった。自分にとっては前衛的過ぎて、理解どころかそれほど感じるものは無かった。
観劇後、再び2人で玉宮町に戻ってきて22時過ぎまでお酒を呑み続けた。今日になって覚えていないようなゆるい話題を肴にして。春の宵に楽しく呑むのには、そんな話題がぴったりだったのかもしれない。