淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

Anniversary

 通勤時にスマホで音楽を聴いている。現場からの最寄りの駅から現場まで歩いている間は、ほぼ毎日。
 スマホには200以上の曲が保存してあり、よほどのことがないかぎりランダムプログラムで再生している。

 今朝というか日付が変わったので昨日の朝、ミッドランドの入口からエレベータである曲を聴いていたら、自分がむかし好きだった女性のことを何故か思い出した。
 曲名は松任谷由美の『Anniversary』。この曲に関する思い出もないはずだし、特別な思い入れがある訳ではないので不思議だった。
 ミュージシャンとして松任谷由美に興味がないわけではない。彼女のあるベストアルバムの曲を全てスマホに保存しているわけだから。

 むかし好きだった彼女も松任谷由美のファンだったとは聞いたことがない。
『Anniversary』の歌詞を帰宅してから確認しても、なんら彼女や彼女との僅かな思い出に繋がる部分を見いだせなかった。
 ただ、確実に言えるのは今日まで何百回も聴いているはずなのに、この曲の印象がガラッと変わってしまったことだ。

 彼女が今名古屋駅で働いていることを最近人づてに聞いて知った。そのことについて潜在的に考えたかったのかもしれないが、この曲の何かがそのきっかけを作ったのかもしれない。
 彼女と知り合ったのは自分のフリーター時代。あるファーストフード店で働いていて知り合った。自分が22か23歳だったと思う。
 当時彼女は女子高生。特別な美人というわけではなかったが、モテた。少なくとも自分の友人の何人かがモーションをかけたが、結局は誰とも上手くいかなかった。

 彼女の一番の魅力は内面性だと思う。彼女と何気ないことでも話していると自分がなんとなく、素直な人間であるように錯覚してくるのだ。きっと彼女が素直だったからだろう。
 女子高生のころは将来の夢とそれに対する現実の厳しさを、社会人になってから偶然通勤時にバスで会ったときも、彼女は取り繕うことなく近況のことをざっくばらんに話してくれた。

 自分が彼女に対して特別な思いを持っていたことを今まで誰にも話したことがないし、おそらく同時の友人たちも知らないだろう。
 今、彼女はあるショップの管理者をしているそうだ。ミッドランドから歩いて行けるほどの距離だし、そのショップは別居している妻が好きだったブランドであることも何かの皮肉なような気もする。

 彼女に会うためにそのショップを尋ねていくつもりはない。彼女に迷惑をかけて気を使わせるのも嫌だから。
 ただ、近くで働いている間だけは時々彼女のことを懐かしく思い返すくらいは許してもらってもいいだろう。