文章を書く上で、心掛けていることのひとつ。それは、架空の読者を設けることだ。その読者に伝える意思を持って、小説もこのblogも書いている。
だが、今日だけ今回だけは、あえてたった1人のために書いている。ある年下の友人のために。
その友人には、先日このblogのアドレスを連絡したので、この記事を見てくれることを願っている。
他の読者にはそういった理由でこの記事だけは書かれていることを許してもらいたいし、部分的にでも何かしら、引っかかるものがあれば、書き手冥利に尽きるのだが。
その友人は今、非常に辛そうだ。いつも何かから逃げ出すことばかり考え、実際にいろいろなことから、逃げ回っている自分とは大違い。彼は非常に生真面目な男だ。
どんな問題かはわからないが、仕事上のことで相当悩んでいるようだ。メールでのやり取りだけなので、詳細はわからないが。
メールのやり取りの中で、相手からびっくりするような内容が送られてきた。
彼から見ると、自分とはいつ会っても、仕事のことを楽しそうに話しているように見えているらしい。
自分はびっくりした。こんな怠惰な人間が、そんな風に見られていたなんて。
彼よりは自分は年上だし、知り合ったきっかけが社員とバイトの関係で始まっていることもあり、多少は彼に対して格好つけている部分があるのかもしれない。
だが、彼は地元の有名私大の大学院を卒業しているし、実際に彼と話していると、自分の教養の無さに気づかされるほどだ。
確かに、今の職種になってからの一時期は仕事が楽しいときもあった。だが、それは10年以上も、昔の話。
最近は、仕事自体が楽しいと心から思ったことはない。
妻との関係が悪くなってからは、気持ちが塞ぎ込みがちなときもあったが、あるときに思った。
妻が出て行ったからとはいえ、1人になれたのだ。1人で人生楽しんでやろうと。
日々少しでも楽しめるように、自分なりに試行錯誤しているつもりだ。
人生を楽しむために、趣味をもう一度見直した。まずはスキーだ。
ここ数年は、毎年冬になると毎週のようにゲレンデに出かけている。多少、仕事で疲れていても、出かける時間を遅らせたり、ナイターを滑るなどの工夫をしながら。
また、文章を書くことにも再び取り組みはじめた。このblogを書くことはもちろん、小説の執筆も再挑戦しはじめた。
趣味で人生を楽しめる人もいるかもしれないが、全ての人が趣味に夢中になれるとも、自分は考えていない。
ある芥川賞作家がエッセイの中で、趣味を持つことは異常だと書いていたからだ。
むかしの王侯貴族なら話は別だが、一般の庶民は生きていくだけで精一杯のはずだから、というのがその作家なりの理由だ。
趣味も仕事も楽しめない人間はどうすればいいのか。この問題の答えに、今の自分は答えを持っていない。
だが、今深く悩んでいる友人と付き合いはじめたころの自分は、趣味も仕事も楽しんでいなかったはずだ。
それなのに自分が楽しんで日々を過ごしているように、見えていたことが、何かのヒントになる気がする。
ただ、自分のことは客観視できないし、そのころの自分はもう居ないので、答えを探すのは難しいが。