淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

同調圧力

 昨日の歓送迎会は、ほどよくお酒に呑まれることができた。失言もなかったと、自分では思っているので及第点だっただろう。

 店には出席者ほぼ全員が、オフィスから歩いて移動したが、自分は犬のように一番後ろに付き従った。当然、入店も席に座るのも最後になる。
 入店し、宴会場に入るのを待っていると、自分の後ろでひっそりとした話し声が聞こえた。声が聞こえた方に振り返って見ると、和装の女性従業員2人が話していたのだ。見た目から、彼女たちは学生のアルバイトだろう。

 2人が話していたことを聞いてみた。自分が何か言われている気がして。
 聞いてみると、自分の予感はある意味では当たっていたが、ある意味では外れていた。
 彼女たちはやはり、自分のことを話していた。だが、自分のことをネガティブに見ていたわけではなかった。
 自分が着ていたカッターシャツのことを褒めていてくれたようだ。
 彼女たちが今まで見たお客の中で、一番パリッとしているシャツを自分は着ていたらしい。
 昨日、着用していたシャツはライトブルーの細いラインのストライプ柄。自分の中でもお気に入りのものだったので、褒められて悪い気はしなかった。彼女たちのお陰で、気分良く会にのぞむことが出来た。

 昨日の会の席は、くじ引きで決められた。残ったくじを引いて決まった席は、プロパー社員に囲まれた場所だった。
 左側には自分の主担当者が、右側にはプロパー社員の最年少の女性で昨夜の幹事が座っていた。彼女の更に右側は部長だった。

 会は和やかに始まった。幹事の彼女のおかげで。
 昨日の会の参加者は20人以上。それだけの出席者の飲み物のグラスを気にし、場の雰囲気と時間を気にしながら会の進行をスムーズに進めていた。
 おかげで、自分が気にしていたスピーチも特に問題なく終わったと思う。
 自分のまわりは、幹事の彼女以外は年齢も高いせいか、お酒のペースもそれなりに速かった。
 途中から、日本酒を選ぶ人も増えてきたので、幹事の彼女は付き合わされていた。
 これだけの人数が多い会の幹事なので、せわしいのは当たり前。彼女がつまみに箸をあまり伸ばしていなかった。

 無事に会はお開きになった。幹事の彼女が二次会の参加者を募っていた。時間はまだ21時くらいだったこともあり、自分は参加することにした。
 だが、二次会の会場に着いたときに驚いた。外注社員は自分だけだったから。やはり、自分は空気を読むのは不得意なようだ。

 それでも、自分は二次会を楽しんでいた。参加者に女性が多かったこともある。例え、相手がお客であるプロパー社員であっても。
 途中で幹事がトイレから戻ってこないことが話題になった。自分も密かに心配していた。彼女は20代前半なので、日本酒もそれほどは飲み慣れていないと考えていたからだ。

 彼女が戻ってくると、顔は真っ青だった。悪酔いしているのは明らかだった。心配なので、自分も皆で彼女に着いていった。
 二次会の店を出たのは23時過ぎ。どの方面も終電が近づいていた。
 名古屋駅方面の地下鉄の改札をくぐり、電車に乗った。自分は自宅方向ではないのにも関わらず。
 気がつくと、日本酒を付き合わせていた部長はいなくなっていた。てっきり、彼が彼女の面倒を見るものだと考えていたのだが。

 しかも、彼女の自宅方面に向かうメンバーは居なかった。仕方がないので、自分は彼女の自宅方面に住んでいた友人に急ぎ電話をした。
 遅い時間にもかかわらず電話に出てくれたので、駅まで迎えに来てくれることを頼むと、気持ち良く了承してくれた。
 そのことを彼女に話すと、駅からはタクシーで10分ほどなので、大丈夫だと言った。相変わらず真っ青な顔で。

 その言葉を間に受けて、自分は帰宅することにした。友人にもう一度、電話で事情を話してから。
 自宅まで行ける終電の時間はもう過ぎていた。最寄りの地下鉄の駅まで行くと、ほっとしたのか小腹が空いてきたので、ラーメン屋に向かった。

 ラーメン屋に入店すると自分以外にお客はいなかったが、しばらくすると若い女性が1人、入ってきた。
 自分は醤油ラーメンを頼んで食べていたが、美味しく感じた。味わってゆっくりと食べた。
 麺を食べきると、スープに浮いていたネギをレンゲで口に運びながら、幹事の彼女にかかっていた組織の力のことを考えていた。

 自分はそれが同調圧力だと。旧態依然の会社風土が作り出した、見えにくいプレッシャー。
 最年少の女性だから幹事をするのも、上司の酌に付き合うのも当たり前だという、場の空気。
 自分はそういうものに対して、違和感がある。歓送迎会や忘年会などを職場で行うのは、それなりに意味があるとは思う。問題も当然、あるだろうが。
 ただ、会への出席を強く求めたりするのはナンセンスだし、幹事を年少者に担わせたりすることが多くの組織ではまだ、続いているのだろうか。
 たまには、年長者や上司が幹事をする飲み会があっても良いとは思うのだが、自分は未だにそんな会に出席したことがない。