今の現場に着任して二週間が過ぎた。その作業環境から今日は、書き綴ってみたい。 マスヲは今、20人が座れるかどうかのオフィスで働いている。ある会社の名古屋支社らしい。
東京に本社があるらしいのだが、名古屋と併せても従業員は80人ほどと、あるプロパー社員から聞いた。
広くはないオフィスであるし、セキュリティーカードが付与されていないためにオフィスの外に自由に出ることができないから、何かと息苦しい。
システムの仕事を一緒にしたことがある自分の友人ならが、多少は自分に同情してくれるだろう。マスヲはどこのプロジェクトでも自席に居ないことを知る人は知っているからだ。
事務所内はプロパーの率が高いだけでなく、彼らは身内同士のおしゃべりが忙しい。仕事中も騒がしいことが多い自分でもうるさいと思うので、かなりのものだと思う。
仕事中のうたた寝の邪魔にはならないが、なにかに集中して取り組もうとすると、どうしても気がそがれてしまうほどだ。
自分に割り当てられた席は角。左横と正面は自分と同じくらいか歳上に見える女性エンジニアだ。詳しく聞いたことがないので、これから述べる彼女たちのことは完全に自分の憶測だ。
正面で作業している彼女はメガネをかけたプロパー社員。おそらく独身で今現在、付き合っている相手もいないのではないだろうか。
左隣に座っているのは自分と同じ外注。子供がいることは知っているが、なんとなくシンブルマザーのような気がしている。他人に説明できる根拠はないので、あくまで自分の感だが。
薹が立った女性に囲まれるようにして、自分は角席に座って作業をしているのだ。 彼女たちはお互いの立場が違うせいか、社交辞令を連発している。その言葉はどれもこれも耳障りが悪い。
笑えてくるのならまだマシなのだが、くすぐったいのを通り超して、不快に感じてしまう。
今日も彼女たちは与太話を繰り広げていた。外注の彼女がプロパー社員に媚びを売るように栗の和菓子を差し入れしたところから、二人の会話は始まった。プロパー社員はお菓子を見るとニヤっと笑い、次の言葉を繰り返していた。こんなことは辞めましょうよ、と。ワンオクターブ高い声で。
今日のお昼休みの二人は、小声でお互いの恋の話をしていた。今の彼女たちからは、ほど遠い話。20年は昔の話だろう。
そんな話を聞かされると、彼女たちが憐れに思えて仕方がなかった。二人には今語るべきこと、他人に認めてもらいたいことがまるで無いようにしか、思えなかったからだ。
自分の推測なので、彼女たちには自分も含めた他人がひれ伏すような秘密があるのかもしれないが、本当のところはどうだろう?
人は見かけで判断をしてはいけないとはいうものの、次のような言葉もある。40歳を超したら自分の顔に責任を持て、と。
確かアメリカ史の上で最も有名な大統領の一人の言葉だったと記憶している。もちろん、トランプやブッシュなどではない。